『僕たちの旅記録〜後日談〜』


それから…2年の歳月が過ぎた。

アスでアッシュ・リーノアと呼ばれていた2人は同じ中学校に入学した。

カイムは、小学5年生に進級。

マイスターは他の中学校に入って、友人を作ろうと頑張っていた。

ルークは、マイスターの通っていた小学校で6年生になった。

アシッドは、今まで居た仕事先から別の仕事場になり、今日も働いている。

コウリアは、とある企業で秘書として

今日も社長とスケジュールの間でわたわた動いている。

クリス・エララ・レインは、主婦として家で家事をする反面。

それぞれの家でそれぞれに合った仕事もやっていた。

みんな、ばらばらで…お互いに顔を合わす機会は病院で会った一件以来、

ほとんどなかった。


でもね…。

「ブン…ッ」と音がして起動したパソコンの中の世界。

『アスガルド』の中では

「よぉ、久しぶり。(^^ノ”」

「みんな、元気か?(・・?」

「私は元気、アンタは?(・・?」

「ねぇ、クリスー。待ってー!(><;」

「全く、落ち着きがないな。(−−;」

「くすくすw(^^」

「どったの?(・。・」

「にこにこ(^w^」

「今日も平和ですね(^^」

「いこおー!」

こんな風な声がしているかもしれません

『音』なき『声』で…。

彼らはこれからもアスガルドで会うたびに話していくでしょう。


「ぱたっ…」と音がした。

それは、一人の若者が本を閉じた音。

『僕たちの旅記録〜10人の冒険者〜』を全て読んだ者が本を閉じた音。

閉じられた本は、本棚へと戻された。

しかし、読んだ者の記憶が忘れない限り

本の内容は、読んだ者の中で消えないだろう。


マトモなようでマトモじゃない。

ギャグなしかと思えば、そうではない。

この反発した性質を持つ本のコトを…。