『ラファンの日記〜かわりゆくもの〜』 アスガルドの世界は、いつものように過ぎていく。 いろんな場所で活動する人たちと共に…。 『X月○○日。 平和だからこそ、楽しいと感じたり、笑ったり出来るんだなあって思いました。 そこにはきっと、ドタバタなノリも、あれ?と思うコトもあるのだと。 私は、毎日が単調でした。 けど、そんな単調なノリが好きだったのです。 しかし私は、前にあった課金の件のコトを心のどこかで心配していました。 『2度目の宣告は、おそらく遂行されるであろう』ということだけは…』 最初の課金の出来事から4ヶ月かそこらが経過した頃。 2度目の課金の噂が再びアスガルドの世界に流れた。 しかし、以前ほど批判の声は聞こえてこなかった。 そして、ラファンも同様に納得こそすれど、批判する気もなかった。 (かなり長くいられたし、これで課金になって消えても仕方のないこと。 一部の人に引退を告げたら…そしたら、課金の日のギリギリまで私は、 アスに居ましょう。 その後は、静かに眠りについて消えましょう。 クーお兄ちゃんやイリューム達と一緒に…。) 『私は、消えることに対して少しのためらいがありました。 それでも『自分が消える』ということには、 割り切った気持ちの方がやたらと強かったのです。 『私一人がいなくたって、この世界はそんなコトに関係なく過ぎていく。』 そう気が付いてしまったからでした。』 (いつものように笑顔でいよう。 泣くのは、好きじゃないから。 課金の日まで、笑顔で好きなコトをしよう。 後悔したくないから。) そう決めて、ラファンは自分のやりたいように過ごしていた。 時にはアスの友人の誰かとのんびり『ひなたぼっこ』しながら談話。 時には一人でどこかへ狩りに出かけたり・回復聖をしたり。 いつもナイトモスエリアへ来る魔術師の名前も話をするようになって、覚えた。 彼の名前は、シュア。WIS先振り20のINT魔さんなんだって。 『X月X○日。 課金のメドがたってきました。 現実の日付で8月頃だそうです。 今、7月下旬頃なので、そろそろ準備でもした方がいいのかもしれません。』 (んー。コレはどうしようかな?(・・?)) スペルブックを見ながら考え込んでいるラファン。 しかし、売る気にはどうしてもなれない。 (…ダメ!これだけは売れない!!大事な仲間からもらったものだもの) スペルブックをギュッと抱きしめながらラファンは、そう思った。 結局、何も店売りせずにラファンの手元に残ってしまった。 (この世界に残るコトなんて…出来ないのに) 人しれず、ラファンは溜息をついた。 『悩んでいる暇なんてないのに、課金の日はどんどん近づいてきていました。 もうこうなったら、アイテムなんてナイものと思って、無視です。』 そんなこんなで課金開始の1・2週間前。 「もうすぐだねー。」 ナイトモスエリアでおしゃべりしているとふいに誰かが言い出した一言。 「そうだね。みんなは、どうな訳?(・・?」と切り返す盗賊。 「私は、2ヶ月課金でアスの様子見です。」と答える魔女さん。 「おれは引退ー。」と答えるもう一人の盗賊。 「オレはそのうち復帰するけど、今は引退。」と答えた戦士。 「私は、継続で課金だな。」と答える聖職者。 それぞれが答える中。イリュームがそこに居た。 Lv1服のカッコで狼帽をかぶっているイリューム。 その隣には、シュアが居た。 イリューム:「はぁ、フラれたぽい。」 といいながら、イリュームの殴りスキルが風を切る。 (シュア:「誰に? あ。答えたくなければ、いいけど。」) とWISで訊いてきたシュアにちょっと考えて (イリューム:「涙さん。」) と正直にWISで返すと (シュア:「ぶ」) と返答が返ってきたので、ムッとしたイリュームは (イリューム:「シュアには居ないのかよー。好きになれる人は。」) と切り返すと (シュア:「オレの気持ちは、伝わらないよ。だって…言う気ないから。 このまま言わないで、引退するつもり。」) とWISで言いながら、シュアはイリュームの顔を見た。 (へ?!煤i・・;)) コトバには出ないものの、何となくイリュームは、何かを察した気がした。 ところがその空気は、突如やってきた奴によっておかしくなった。 「わぁ。君、可愛いね(^^」 いきなりやって来た魔術師が2人の前にやって来た。 そして、シュアはジーッと好奇の視線で見られるハメに…。 シュア本人は目を合わせないようにして、魔術師の視線を避けている。 (シュア:「なんか見られてる(;;」) とWISでシュアの困惑ぶりがうかがえた。 (てか、コイツは誰だ!煤i・・;) とイリュームも狼帽に修1服のカッコで内心困惑していたが、 (殴り系スキルで威嚇だ+(・・))と思い、寸止めでスキル連発。 フッと魔術師の視線がイリュームにズレた。 (帽子かぶっているから、説得力ないのかな?) そう思ったイリュームは狼帽子を外して、説得しようと思ったら…。 「あ、可愛い顔がもう一人w」と言い出す魔術師。 そう…シュアとイリュームの髪型は、同じだったのだ。 そのせいか、今度はイリュームが目をつけられた。 (イリューム:「シュア、2人で目の前の奴、倒すか?(・・?)」) とWISで提案すると (シュア:「いいね。といいたいけれど、何かアイツやだ。(・・;)」) と言い出すシュア。 「どっちかオレの相手してよー」と言う魔術師に対して (イリューム:「落ちるか。そしたら、逃げられるし。」) (シュア:「OK。そろそろ時間も来ているみたいだし。またね」) と2人でWISで話し合ったかと思うと2人してログアウトした。 『X月○▽日。 夜おそくにイリュームが私の家にやってきました。 「おかえりなさい」と言った私にイリュームは、何かを耳打ちして… そして、「じゃあな!」と言い残すと、家へと帰って行きました。 私は…悩みました(^^;) だってそれは・・・内緒ですw』