君に贈る、巫山戯た作品〜続編(? その1


我輩は、守護動物。名前はまだない。
今の我輩のご主人(ますたぁ)は、ディカンと言う名のお優しいお方だ。

我輩としても愛しのご主人(ますたぁ)のお役に立ちたい。
そう思って、ご主人(ますたぁ)の荷物に隠れてご主人(ますたぁ)に
ついていったものの、結果は然り。
役に立つどころか、役立たずで終わってしまった。

「どうしたの?(・・?」と我輩を心配してくれるご主人(ますたぁ)。
あなたのお役に立てない我輩なのに。それでも心配してくださるとは

やはりご主人(ますたぁ)は、お優しい方だ。
こんなご主人(ますたぁ)のお役に立つためには、エルモアになるしかない。

こんな風に守護動物が思いつめてるとは、つゆ知らず。
ディカンは、謳華と一緒に狩りへと出かけてしまった。

人がいなくなったアジトの中。
守護動物は、ひっそり静まり返る中。アジトの外へと出て行った。

ぴょんぴょんぴょん…と守護動物は、町の中を跳ねていった。
でも、誰も気に止める様子はない。

しかし、しばらく跳ねていた守護動物は、お腹が空いたのか立ち止まった。

むぅ…。困ったものだ。まだ狩りも何もしていないのにお腹が空くとは。
『腹が減っては戦は出来ぬ』と申すが、事実その通りかもしれぬ。

あぁ、力が抜けていく。このまま我輩は、干からびていくのであろうか。

ほんの少し、想像してしまった。そして、思考を消す守護動物。
しかし、誰も気にかける様子はない。

…と、その時。

「ん?」と偶然近くを通りかかった聖が一人。
少しばかり遠くに居る緑の物体に気が付いて、走っていった。

あぁ、ご主人(ますたぁ)。我輩は、このままお役に立たずに
干からびる運命なのでしょうか?

空腹でわずかに鳴るお腹の音。
もはや、かなりお腹が空いてきていて
意識が少し飛びそうになりかけている守護動物。

だが、その意識が飛んだ後に守護動物は、拾われた。

一人の聖に…。
守護動物を拾った聖は、荷物の空きに守護動物を収納すると
持っていたゲートを使って町へと飛んだ!

ミルレス町…。

広場の一角に聖は、現れた。そして、自分の家へと歩き出す。

ミルレス薬屋地域…。

聖は、そのエリアに建っている民家の1つに入った。
そして、ドアにカギをかけると、荷物の中から守護動物を出してソファーの上に置いた。

「さて、何つくろうかな?(・・?」
昼食用の買い足しておいた材料の入った袋の中身を取り出して
次々と切っては、料理を作っていた。

最初は鍋1つ分で事足りたのだが、30分後には鍋3つ分の料理が出来ていた。

む?何やら美味しそうな匂いがする…。
ふいに目を開けた守護動物に「あ、起きたぁ?」と声をかけたのは、
『またーり聖』だった。

我輩は、いつの間に連れてこられたのだろうか?
守護動物は、考えた。しかし、意識を失った後に連れて行かれたので
当然のことながら、記憶がない。

しかしそんな風にまともに考えている気持ちとは裏腹に
「ぐぅ〜」とかすかに鳴るお腹。
くうっ、恥ずかしい。と思っていても、食べ物のいい匂いには勝てない。

「あ、お腹空いてるの?ちょっと待っててね(^^」
とまたーり聖は、お皿に料理を載せてしゃがむと守護動物の足元に置いた。
ジッと守護動物が自分を見ていることに気が付いて。

「食べていいんだよ。あ、それとも僕が居たら邪魔かな?(^^」
と言うと、またーり聖はしゃがんでいる状態から立ち上がり
自分が食べる用にお皿を出して料理を皿に盛っていた。

一人で飛び出していきなり気を失ってしまったのは、不覚であった。
だが、我輩はある意味。運が良いのかもしれない。

現に今。我輩は、ご主人(ますたぁ)とは違うものの、優しいお方から
食べ物を頂戴した。…しかし、このお方を信じていいのだろうか?

とは思ったものの、やはり空腹には耐え切れず。
我輩は、皿に盛られた料理を食べ始めた。

「あ、食べてるね(^^」と守護動物が食べ始めたのを見て
安心したまたーり聖も皿に盛ってきた料理に箸をつけて食べだした。

いつもなら一人で料理を食べるのが習慣だったが、
今日に限って守護動物がいたせいか、またーり聖は嬉しかった。