『ナゾの薬、騒動記』 その3


(もしかして、またーり聖も今頃は、女になってるのかな?)

とイリュームが思ってるのとほぼ同じ頃、ルケでは…。

「おい、何か誰かが倒れているぞ。」

人だかりが出来ていた。


そして、その中心に居たのは、意識がなくなって倒れているまたーり聖。

彼は、ルケにゲートで移動した後に例の試薬を飲んだ。

そして、副作用の激しい眠気に襲われて倒れてしまったのだった。

その髪は腰の上まで伸びていて、漆黒の黒とも言うべきくらいの黒だった。


「おーい、起きろー。」とゆさゆさと体を揺すっている人が一人。

そして、その周りに出来てる人だかり。

まだ彼の起きる様子は無かった。

着ているのは、男物の41聖の服ということもあってか

周りの人は、ケンカで倒されたのだと思っていた。

ところが、倒れている聖が生きているかどうかを調べようとした戦士が一人。

倒れた聖の心音を聞いて…驚いた。


「生きてるぞ!それと…コイツ女だぁ!!」

と叫んだ戦士に周りの人だかりが驚いた。

女性の聖が男物の服を着ているのは、かなり異様だったらしい。

そしてざわざわと聞こえてくる声でまたーり聖は、目を覚ました。

周りの自分を見る目がやけに異様なコトに気が付いた『またーり聖』


「あのぉ?僕、なんかやった??」

訳も分からずにきょとんとしていると

「おぃ、そこの嬢ちゃん。僕って言い方は、ないだろう?」

と心音を聞いた戦士がツッコミを入れた。

「はぁ?」とまだ訳が分かってないまたーり聖に

「『聖女』が『僕』というなぁ。男の理想を壊してもらっちゃ困る(^^;」

となおもツッコミを入れる戦士。

「『聖女』?どこに??」とやっぱり訳が分かってないまたーり聖に

「お前だぁ!!」と人だかりの全員がまたーり聖に向かってツッコミを入れた。

「え…ええええええ?!!」とまたーり聖は、驚いて叫んだ!!

が…。

「てへっwま、いっかぁw」と開き直った。

周りの皆が一気に脱力状態になる…。


ところ変わって狩場…。

「なぁ、イリューム。何だってその…女の子に?」

狩場で休憩しながらトフィが訊いた。

「知り合いの聖職者が薬を作ってて、その試薬を飲んだら、急に眠気に襲われて

それで目が覚めたら、このとおりだよ。」

とイリュームは、トフィの隣に座って休憩しながら答えた。

「じゃあ…薬の効果が切れたら、元に戻るのか?」

「そうかもしれない。」

「オレのイリュームが…。(;;)」

「オレ、誰のモノでもないけど?(^^;」

と苦笑で返すイリュームに

「ま、そりゃそうだw(^^」とトフィは、笑って言った。

つられてイリュームも笑顔で微笑んだ。

「けど…」

ふいにグッと腕を引っ張られて、イリュームはトフィに抱きつかれた。

「ちょっ…。」と何か言いかけたイリュームに

「お前が男でも女でもどっちでもいい。ただ、狩りの時にゃ

オレのこと忘れて行くんじゃねーぞ?オレだって狩り仲間なんだからな。」

さっきも焦ったんだぞ。置いてかれたかと思ってよー。とトフィが呟く。

「ゴメン。でも、今度はWISとかでも呼びかけるよ。」

とイリュームは、笑って言った。

「でも…。出来ることなら、このまま女だったらなぁ…。」

とトフィは、イリュームに引っ付いたままで呟いた。


数分後。

「もー!トフィなんか嫌いだ(・・#」

とトフィに背を向けてイリュームは、ムスッと怒っていた。

「だからゴメンってばぁー!!(;;)」

とまたしても謝っているトフィは、壁にわずかにめりこんでいた。

どうやらマシンガンキックでやられたらしい。

「もう、知らん!!(・・#」

と怒ったイリュームは、持っていたゲートを開いた。

メンタルロニアの魔法文字が足元に現れる。

そして、その光がイリュームを包んで強烈な光を放った。

光が収まった時。イリュームの姿は、もうなかった。