『ナゾの薬、騒動記』 その1 初めまして。オレは、イリュームです。 オレには兄弟がほかに3人居て、長男・長女・次男がオレの前にいる。 つまり、オレは末っ子ってヤツだったりする。 ほんのちょっと前まで、悪友のアプサラスに負けじとLv上げをしていたオレ。 けど、そのおかげで友達も前より増えた。 それは嬉しかったんだけれど…。 ある日のコト。 「やほぉ、イリュームw」 陽気な声と共にオレの家に遊びに来たのは、またーり聖という名の聖職者。 Lv41服を着こなす聖でコイツの作る薬は、回復薬なら何でもござれって感じだ。 そして、オレとは2ヶ月前に知り合った友人でもある。 「イリューム。実は、試薬を作ったんだけれど飲んでみない?」 突然そう言われてイリュームは、困った。 「何の薬を作ろうとしたんだ(^^;」 オレは、またーり聖の手に握られた、透明な薬のビンの中の緑の液体を見た。 そして…何となく嫌な予感を感じていた。 「うーん、見て分からない?SP回復薬の試薬だよ。 今まで最高のは、SP200のステリクシャと50%モス酒くらいっしょ? だから、もうちょっと回復力のあるSP回復薬を作ろうと思ってね。 僕は、SPとかにはあんまり関係ないから、一番SP使うだろう人に 試してもらおうと思ってさ。」 と言うまたーり聖の意見は、かなりマトモだった。 でも、嫌な予感は、やっぱりする。 「悪い…。オレ、試薬とかはちょっと。(^^;」 と言うと 「そうだよね。もし試薬が失敗作でイリュームに大きな副作用とかが出たら 怖いもんね。やっぱり、別の人に頼もうかな。」 と笑顔で言うのだが、その笑顔がどことなく諦めに近いものを感じてて…。 そして、オレは嫌な予感を振り切ってしまった…。 「なぁ、その試薬。持続性は、あるのか?」 思わずそう質問してしまった。 「え?…あ、うん。3日くらいは効果が持続するよ。 だから飲んでから狩場へ行けば、SPを使っても回復速度が倍に上がるから。 3日間、狩場にこもって狩りも可能だよ。ただ、副作用がまだ分からないんだ。」 試薬だからねぇ。とまたーり聖は、呟いた。 「試しに使ってみるよ。」 というイリュームにいいの?!と驚きを隠せないまたーり聖。 「だってさ…。友人の手助けしたいじゃんか。」 と言うイリュームに「ありがとう(^^」と笑顔で笑うと またーり聖は「君だけに試させるのは辛いから、僕も使ってみるよ。」 と言って自分も試験体になることとなった。 「じゃあ、とりあえずこの薬は置いていくよ。」 と、またーり聖は、持っていた薬を置いてイリュームの家を出た。 「さて…。コレをどうするかなー?」 テーブルに置かれた1つの薬ビンを椅子に腰掛けて眺めているイリューム。 でも、折角作ってくれた薬を飲まないわけにもいかない。 「嫌な予感がするけれど、飲んでみないことには分からないもんなぁ。」 と眺めていた薬ビンのフタを開けて薬を飲んでみた。 …何も異変は起きなかった。 「なぁーんだ。タダの取り越し苦労だっ…。」 だった。と言い切る前にイリュームは、激しい眠気に襲われた。 そのままテーブルに突っ伏して、イリュームは眠ってしまった。 どのくらいの時間が経ったのだろうか? 「…んっ。」とイリュームの目が覚めた。 「…あー。昨日狩りし過ぎた疲れが残ってたのかな?」 大きく欠伸をして背伸びをするとイリュームは、立ち上がった。 …とその時だ。 「…あれ?服がなんか大きい?」 いつもならぴっちり着こなせている41服の肩の部分がやけにゆるい。 (やせた覚えは、ないんだけれどなぁ。) くぁ…っ。と大きな欠伸をしながら頭を掻いた。 目のあたりをこすって…そして、気がついた。 「え…。」 髪がかなり伸びている。 (おかしい!オレ、髪の毛が伸びるのは遅い方なのに。) 一体何が?!と思っていると ふいにドアをノックする音がした。 (ええええ?!こんな時に誰だぁ?!) イリュームは、自分の体に起こったコトでほとんどパニック状態だった。
![]()
![]()