第15話『混乱と迷走と』


ディグバンカー出入り口エリア…。

ティアイエルは、呆けていた。

今まで目の前で起こっていたことに対して、戸惑っているようにも見えた。

「壊れましたねぇ(^^;」

ミリアが一言、呟いた。

それに気が付いてティアイエルが、我に返った。

しかし、それでもまだ訳が分かってなさそうな表情だ。

「あの様子だと、自覚症状ないですね。ガブリエル(^^;」

ミリアがまた苦笑まぎれにそう呟いた。

「訳わかんない。何アイツ、いきなり逆ギレして…。」

ティアイエルは、下を向いてグチをこぼした。

「確かに。いきなりあんな風に言われたら、分からないですね。

でも、一つだけ分かったコトがありましたわ。(^^」

ミリアは笑顔でティアイエルに微笑みかけた。

黙りこくったまま、ティアイエルがミリアを見た。

「嫉妬ですわ。(^^」ミリアは、表情を変えずに言い出した。


「は?」ティアイエルは、一瞬訳が分からなかった。

「さっきの…ラティとかいう名の盗賊さんに嫉妬してますわねぇ。

まぁ。目の前で2人してべったりしてたら、彼でなくとも…ですがね(・・」

うーん。とちょっと考えながらミリアは、言った。

「考えられないわ。と言うより、ナンセンスよ。」

そんなことある訳ないじゃない。と否定するティアイエル。

「…ですかねぇ?まぁ。その気がないならガブリエルのことは、

当分放っておいたのがいいですわよ。そのうち、ふっ切れますから(^^」

とミリアは、笑顔で言ってのける。


「ふと思ったのですが、そのラティさんは?」

周りを見回して、ミリアは訊いた。

「ラティ?さっきゲート使って、町に戻ったわよ。」

ティアイエルは、普通に答えた。

「で。そのラティさんとは、どうなのですか?(・w・」

好奇心のありそうな顔で、ミリアは質問した。

「実は、さっき『告白』されたのw返事は待つって(^^」

とティアイエルは、嬉しそうに答えた

「おめでとうです(^ワ^」とお祝いの言葉を言うミリア。

「とりあえず、ありがとう(^^」と言うティアイエル。

そこにあったのは、楽しい空気だった。


ミルレス薬屋地域…。

ガブリエルは、薬屋へとふらふら歩いていた。

その意識の中でいろんなコトを思い出す。

ティアイエルと初めて会ったときのコト

Lv差をかけて必死にLv上げをしていたコト

ミリアと会って補佐をしてもらい、今のLvまで上がったコト

そして…今日のコト。

(もうどうでもいいじゃんか。オレは、ただの一人に戻っただけ。

それ以上に何がある?寂しいとか空しいとか考えたって、意味なんかない。)

何かがなくなっていく気がしたが、それすらも気にならない。


(他の町へ行こう。ここではない、別の町へ。)

目の前に見えてきた薬屋の中へと入った。

「いらっしゃい。元気がない時は、ウチの薬を飲むといいよ。」

そう言って陽気に鍋をかき回す薬屋の女店主が見えた。

「ゲートを…下さい」

ガブリエルは、そう言い出していた。


数分後。一つのゲートを手に入れたガブリエルは、店を出た。

すかざずゲートを開くガブリエル。

足元にスウッ…と現れる魔方陣。

ガブリエルの周りに光が集まり…そして消えた。