第4話『禁忌』
「エル・・・・・・ぼくは君のリアルだ!」
ついにぼくは、いってしまった。
エルは、コトバの意味が分かったらしい。
「私の、操作者・・・・・・?」
ただそれだけいって、おどろいている。
すこしの間流れる沈黙。しかし、すぐにそれは破られた。
「ああ、遅かったか!!」空間の中に光の柱と共に老人があらわれた。
「あ、さっきの。」と指をさしていうぼくに
「なぁーにが『あ、さっきの。』じゃ!!」と怒り出した。
「賢者殿。何が遅かったのでしょうか?」エルが訊いた。
「この世界では、リアルとそのキャラは会ってはいかんのじゃ。
なぜなら、会うことによってこの世界での『つながり』が出来てしまう。
『つながり』ができてしまうと、リアルはこの世界から抜けられなくなる。」
しかし、もう手遅れだのう。と老賢者は、冷たく言った。
「待ってください!方法は?何か方法はないのですか?!」
エルは必死に賢者に懇願している。
ぼくは、話のないようがわからなかった。
ただ、一つ。エルとは、あっちゃいけなかったらしいってことだけしか…。
それしか分からなかった。
「ともかく、ワシャ知らん。そこの子供が原因じゃ。」と賢者は冷たい。
「そんな・・・・・・。」エルは助けてほしいとばかりに頼ろうとした。
しかし、老賢者は再び 光の柱と共に消えた。
(ここにくれば。もうむしされなくてすむって、おもってたのに。)
(ここにくれば。もうだれもいないことなんてないっておもったのに)
ぼくのささやかな期待は、すこしずつ消えていった。
(どこへ行っても、ぼくは何も言われない。)
(どこへ・・・・・・行っても・・・・・・。)
いつものこと、いつものこと。
気がつけば、ぼくは走り出していた。
「ユウト!!」かなり後ろからエルの声がした。
かなり走った。エルが追いかけてきてるようだ。
「ユウト!!」叫び声がすぐ近くに聞こえる。
(なんで?!)少し動揺して走る速度が落ちた。
次のしゅんかん。ぼくは、エルにうでをつかまれた。
「エル・・・・・・。何でおいかけてきたの?ぼく、エルとあっちゃいけないんだよ?」
いつの間にか・・・・・・雨が降っていた。
「今、リアルを見失ったら、私が後悔するからです。」
ギュツと後ろからだきしめられた。
でも、なんでかエルのコトバがうれしかった。
いつの間にかぼくは、泣いていた。
「一緒に探しましょう。あなたが戻れる方法を。」
エルは、優しい表情でそう言った。
「うん・・・・・・。」泣きながらぼくは頷いた。
雨の日なのに、なんでか心があったかくなれた気がした。