第12話


オレとリゼルは、外の様子に半ば唖然とした。

Lv50〜Lv70かそれ以上の聖の使う補助・回復魔法の詠唱の声。

ソロで戦う者・少数、大人数のPTで狩りする者。

外はもはやモンスター争奪戦のような空気が流れていた。

(え…と。)と内心どうすりゃいいんだ?と困っていると

ホーリービジュアの範囲内に入っていたらしい。

光の輪が足元に現れる。

「うわっ!」とリゼルが声を上げた。

ハッとして振り向くと、リゼルにモンスターが集まっていた。

あわてて、タゲを外しにかかる。

「イミットゲイザー!」

イミットを3発、リゼルにタゲを絞るモンスターに当てた。

2匹はオレに向かってきた。けど、残りの1匹はリゼルに攻撃している。

(くしょー!)リゼルに攻撃しているモンスターに

「マシンガンキック!」

ケリを入れた。クリティカル!!

リゼルをタゲにしていたモンスターが沈む。

あわてて残りの2匹にケリを入れる。

リゼルがリカバリを連発してくれたおかげで2匹とも倒せた。

「あり^^」
「どういたしまして^^」


これを機にオレとリゼルはいつもの調子を取り戻した。

いつものようにリゼルのタゲをとりながら

ディグの近くやディグより少し距離をとったところで狩ったりした

途中、失敗してお墓になったりもしたけれど、でも気にしない。

いつもと同じように狩りをした。現在40%・・・あと60%

そして今日も夜になり、オレとリゼルはディグの建物の中で解散した。


ミルレス町広場・・・。

ゲートで帰ってきたオレは、意外なことにミアスを見かけた。

「よぉ。数日ぶり^^」そう声をかけると
「元気そうね^^あのね・・・。」とミアスの表情は暗くなった。

「アプサラスが・・・。一緒に組んでる聖さんとすっごい仲が良くて…。」

ミアスは何だか悔しそうだった。

「聖って、その人聖女とか?」そう質問すると

「うん。しかもね、しかもね。髪が長くてキレイな感じの人。」

ズーンとミアスの空気が重くなる。


「やっぱり…。ミアスはアプサラスのコト好きだったんだね^^」

オレは思わず笑って言った。

「ちょっ!ち…ちがうわよ!!」

ミアスは必死にかぶりを振る。しかし、ちょっとして…

「うん。」と頷いた。

「内緒にしとくよ。でも、ミアス頑張れよ^^」

オレは、ミアスの肩をポンと軽く叩いて応援した。

「ありがとう^^」

ミアスは嬉しそうだった。

(ホントは、オレもミアスのこと好きだったんだけれどね。)

そう言いそうになりかけて止めた。

今はとりあえず、ミアスについては時折見守っていようと思った。


ミアスと別れて、オレはいつものごとく寝る場所を探していた。

アプサラスにはかなり前に酒を飲まされた恨みがあってか

アイツの家がある地域には行かなかった。

今日も薬屋地域へと歩き出した。

その途中、アプサラスとバッタリ会った!

「お。イリュー、久しぶりw」と嬉しそうに手を振るアプサラス

「聞いたぞ。一緒に組んでる聖女さんと付き合ってるんだって?」

スパンと単刀直入に話題を切り出してみた。

「まさか。そんな訳・・・あったら嬉しいだろ。」

意味不明な言葉に怒ったオレは

「マシンガンキック!」

アプサラスの顔ギリギリのところでケリを入れた

「正直に話せ。分からん。」

そう言ってオレが怒る。

「実は…付き合ってるw」アプサラスはニヤけている。

「ふーん、あっそ。せいぜいお幸せに。」

それだけ言い残してオレは足早に歩き去ろうとした。

「もし、結婚するようなことになったら式に呼んでやるよ」

アプサラスは、嬉しそうだった。

もはや、何も言う気がしなかった。

そのままオレは薬屋地域へと立ち去った。

(結婚式なんか呼ばれても行ってやるもんか。)

そう思った。