『過去の出会い、今の友人3』


当時まだ5歳の私だったはずなのだが、姉さまからもらった絵本を読んで以来。

太陽の世界にいる子供に会いたい気持ちが強くなっていた。

しかし、今考えてみれば…会わない方が良かったのだろうか?


いつものように友達と遊んで帰ってきての繰り返しで

今日も同じように一日が終わるものだと信じてやまなかった。

だが、現実はそうはいかない。

私は知らなかった。

その日、太陽の世界の王族がお忍びで月の世界に来ているなんて。


「ねー、知ってる?(・・?」

いっしょに遊んでいたルーニアが話を切り出してきた。

「え?なに?(・・?」と訳を知らない私。

「実は今日、太陽の世界の王族がこっそりと来ているんだって(・・」

とルーニアが小声で教えてくれた。


「へぇー。でも、何のために?(・・?」

私の追及が嬉しかったのか、ルーニアは

「何でもね。王族に生まれてきた世継ぎの子供と同じ日に生まれた子供を

探しているのが目的らしいんだって…あ、今言ったのナイショね(^b^」

と口元に人差し指を当てて言うルーニア。


この時の私は、王族=偉(えら)い人。程度の知識しかなかったものの、

(えらい人がこんなトコまでくるわけないだろう。)

それだけは何となく思っていた。


しかしっ!

実際に太陽の世界の王族は、ここまでやってきた。

世継ぎと思われる息子と共に…。


飽きることもなく、友達と室内で遊んでいた私。

(今が一番楽しい(^^)と思っていたエリア。

そのエリアを含めた大勢の子供が遊んでいる場所の

別室の窓ガラスの部屋にはいつから居たのか

太陽の世界の王族の者達がいた。


ガラスに張り付くようにして見ているのは、世継ぎの子供のようだ。

年の頃は、エリアと同じくらいだろうか?

ツンツン頭で好奇心のありそうな目をして、

自分と同じくらいの年齢の子供を見ている。


「わぁー。父ちゃん、この中にいるかもしれないの?

オレと同じ頃に生まれた子w(^^」

太陽の世界の世継ぎ…もとい、グレゴリはウキウキしている様子だ。

「ああ。100%とは言えないが、期待はできそうだ。」

と沈着冷静な口調でグレゴリの父親はそう言った。


しかし、人が居すぎて分からない。

グレゴリの感覚的には、ここに居る!という確信はあったが

それが誰かは実際に見てみないと分からない。


「父ちゃん!オレ、あの中に行って来てもいい?w+(・w・)」

ウキウキした気分はそのままに、グレゴリは父親に向かって聞いた。

「ああ、よかろう。だが…」

と注意事項を言う前に

「やったー!んじゃ。行って来ます!!(>w<)ノシ」

とグレゴリは、駆け出して行った。

「不安だ(−−;」とグレゴリの父親ことグリフィゴールは、溜息をついた。


ガラッ!と元気よくドアを開ける音に

月の世界の子供達は、一瞬ビックリしたものの

何事もなかったかのように遊びはじめた。


そんな中、グレゴリはその様子に臆することもなく周りを見回した。

カンだけれど、確かに居る!

それだけがグレゴリの行動の原動力だった。