『過去の出会い、今の友人』


そう…あの頃の私は、まだ幼かった。

まだ幼くて…多分、自分の居る場所のコトすらも

あんまり知らなかったような気がする。

自分が生まれて育った『世界』。


『世界』の中の常識も知らず、ただありのままに今の自分を…

自分の周りの人たちを眺めていたのかもしれない。

普通の子供がそうするように…。

屈託なく笑い、喋り、遊んで…そんな日常だった。

あの日までは…。


月の世界。

楽しそうに遊ぶ子供達。その中にエリアも混じって遊んでいた。


この頃のエリアは、まだ5歳。

まだ『勉強』というようなものはしていないものの、

それでも周りのみんなと一緒に『カンタンな文字を書いたり』くらいは

時々やっていた。

それ以外は、フツーの子供と何ら変わることはなく

遊具で遊んだり、絵を描いたりと…気ままに遊んでいた。


いつものように遊んでいて、家に帰るとその足ですぐに姉の部屋へ遊びに行く。

それが幼い頃のエリアの日課だった。

「コンコン♪」とドアをノックするといつも姉のルーンが

「あら、今日も来たのね(^^」と笑顔でドアを開けてくれた。


姉の部屋には、いろんな本があった。

エリアは、本を読むのが大好きな子供だったので

姉の部屋で本を読んでは、分からないことがあると質問していた。

いつものように本棚から本を選ぼうと、エリアは本棚の近くを見回した。

そして、一冊の絵本のようなものを見つけた。


「姉さま、これ何?(・・?」とキョトンとした顔で訊くエリアに

「ああ、それは私が幼い頃にお母様から買ってもらった本ですわ(^^」

と姉のルーンは、笑顔で教えてくれた。


「絵本だから、もしかしたら今のあなたでも読めるかもしれませんね。(^^」

と言うと、ルーンは

「私はもう読むこともないでしょうから、あなたにその本を差し上げますわ。」

と言って、絵本をくれた。

「あ、そうだね。姉さま、今度…おめでとう。それと、ありがとう(^^」

と言うエリア。


実は、エリアの姉のルーンは、この時婚約している相手がいた。

姉のコトが大好きなエリアにとっては、ちょっとショックだった。

けど、姉が嬉しそうなので何となく…そう言ったのかもしれない。


「ありがとう(^^」と言う姉に笑顔で応えて

「それじゃあ、部屋に戻るよ。またね(^^ノシ」

と言うと、エリアは普通にドアを閉めて部屋へと歩き出した。


自分の部屋に戻って、ドアを閉めた後にエリアは泣いていた。

しかし、少しして泣き止むと

ルーンからもらった本についた涙を拭いて、本を広げた。