『クロスティアの夢・4』 クーリエの家…。 「クー兄、相変わらず料理が上手いなぁ(^^」 と言いながら、クーリエの作った昼食を食べてるイリューム。 「仕方がないよ。いっつも自炊しているのがほとんどだからね(^^;」 と苦笑するクーリエ。 「あ、そだ。思い出した煤i・・」 と口に入っていたフォークを皿の上に置いて、イリュームが呟いた。 「ん?あ、イリュー、もう食べないのか?(・・?」と訊くクーリエに 「んー?まだ食べるけどさ。その前に食休みするついでに話でもしよう。」 と言い出すイリューム。 「ああ、いいけど。でも、何を?(・・?」 「クロスティアが何で『睡眠魔人』になったかだよ。思い出したんだ。 アイツがよく眠るようになったのって『例のあの頃』なんだよなぁ。」 ほれ、覚えてるか?と話題を振られて、クーリエの顔がわずかに曇る。 「『オレ達のリアルがこの世界にやってきた頃』・・・か?」 クーリエの問いにイリュームは、かぶりを振って 「うんにゃ、違う。正確に言えば、あの直後だ。マリエが帰った直後だよ。 あれからクロスティアの眠る時間が徐々に長くなっていったんだ。」 と言い出した。 「クロスティアには、マリエとの出会いは辛かっただろうな(−−;」 とクーリエは、溜息をついた。 5年前…ミルレスの森の中で悲劇は、起こった。 アスガルドの『門番』である『老賢人』に『禁忌を犯した者』と呼ばれ 見放されたマリエ。 彼女の罪は、『現実世界に体のある者』にも関わらず 『アスガルドへの憧れ』だけで『この世界に入ってしまった』事だった。 そして更にマリエはアスガルドの中で『キャラ』を作ってしまったのだ。 キャラを作るという行為は、この世界と『つながり』が出来てしまい 『アスガルド』の世界から抜け出せなくなってしまうのである。 そのコトを伝えた上で、『老賢人』は、姿を消した。 このままでは大変なコトになる。 そう感じたクー兄やクロスティア・ラファ姉とオレの4兄弟は、考えた。 『老賢人』の話の中に出た『5年前にこの世界に来た者の話』を。 そして、思いついた。 その人が育てていた『キャラ』を探すこと…。 見つけるのはかなーーり難しいと思っていた。でも、見つかった。 その『キャラ』の名前が『エル』という名の『聖職者』。 彼女の50ヘルを越えるという目的に加担することで、 『リアルが元に戻る方法』を聞き出したイリューム。 その方法は、簡単で…けど、残酷な方法でもあった。 けれどそれを知らせるコトなく、マリエは消えた。ミルレスの森に…。 それにただ一人だけ…クロスティアだけが気が付いた。 マリエを追ってミルレスのナイトモスエリアまで来たクロスティア。 けれどもマリエは、クロスティアが引き戻そうとした説得を振り払った。 その後…マリエは、ナイトモスの群れに突っ込んで消えた…。 一瞬の出来事だった…止めることも、どうすることも出来なかった…と。 泣きながら家に帰って来たクロスティアがみんなに話した日のコト。 「5年も経ってるのになぁ。(・・ けど、今こうして話すとつい最近のコトみたく感じるんだ。」 何だかなぁ。とイリュームが溜息をつく。 「5年も前に終わっているコトではあるけれど…。 けど、それを引きずったとしてもオレ達がこのアスガルドで生きてる限り 変わらないことはあるよ(^^」 とクーリエが軽く笑った。 「何さ?(・・?」と訊くイリューム。 「5年前のコトもそうだけれど、『事実』をありのままに受け止める。 このコトから逃げない限り、人は強くなれるとオレは思うんだ。 たとえ、その事実がどんなに悲しいことであったとしても 気持ちを分かってくれる人がいれば…大丈夫だよ(^^」 と言うクー兄は、どこか説得力のようなものを感じた。 「でも、クロスティア。今は悪夢見てそうだぞ(・・」 ほれ、この顔見てみ。とイリュームがクロスティアの方を指差した。 そこには「う〜ん(−−;」とベットの中でうなされてるクロスティアの顔があった。 「夢だしなぁ(^^;」 それに関しては、オレとしても責任は持てないし(^^; とクーリエが苦笑した。 「ま、そのうち目が覚めるだろ(・・」とケロリと言うイリューム。 やっぱり、三男坊はノンキだったとか。
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