『バリスのこんな話』


バリス…果たして彼を覚えている者は、いるのだろうか?

彼は『世界に生きる存在(もの)』でミュアにフラれ、

それに続いてミリアに手を出そうとしたが、ザズに阻止された人である。

本職は盗賊だが、たまに露店で商売もしている。


しかし、モテないのだ。

知り合いの修道士で恋とかにはさして興味のないニルスにも

女の方から迫ってきたとはいえ、彼女がいる。

うらやましいぞ、ニルス!と何度思ったことか。

嗚呼、なのに何故恋人が欲しい自分には彼女は居ないのか?!

これは男としては、かなりのショーック!!煤i・・lll)


(はぁ…。神よぉ!我にきゅーとでぷりてぃな彼女を!!)

何故『ひらがな』なのかはナゾだが、本人は気にしてないらしい。

そして、バリスは今日も狩場で得たアイテムを露店で売ることにした。


ミルレス町広場…。

「いらっしゃい、そこのお嬢さん。商品だけでも見ていかない?」

と陽気に声をかけるものの、何故か買っていくのは、無骨な格好の男ばかり。

「兄ちゃん、相変わらず仕入れがいいね(^^」

と男のお客から言われるたびに

(違うんだ。女性の買い物客とかにも見て欲しいんだ。(TT))

と心の中で泣く始末。

そんなこんなで結局全部売り切れたものの、

バリスの心の中には寒い風が吹いていた。


次の日

(もういいよ。オレは、恋愛は諦めた。一生独身で通してやる(TT))

と諦めたバリスは、今日も狩り場で得たアイテムを露店で売っていた。

ところが、今日に限って微妙に売れない。

(まぁ、仕方ないだろうな。今日のアイテムは微妙だからな。)

と思っていたその時。

「わぁ、コレ下さい(^^」と笑顔でやってきた吟遊詩人が一人。

その吟遊詩人は、Lv25で覚える『バードヒステリック』を買っていった。


スキルを買った詩人の名前は、ディクス。

緑の羽帽子に黒の1服を着たその格好は

まるで幼いいたずらっ子の雰囲気のようにも見えた。

(まぁ、ちょっと幼い感じの子供みたくは見えたかな。)

そのくらいの印象でしか思ってなかった。


ある日、バリスはカレワラに狩りに行った。

そのついでに吟遊詩人のスペルブックやら騎士のスキルを買った。

そして、再びミルレスに戻って露店を開いた。

(どうせ売れるわきゃねーって分かってるけど、実験。)


と思って売ると偶然なのか奇跡なのか

ちょうど側を通りがかった騎士がバリスの露店に目をとめた。

眺めること数分…。

『ブラストアッシュ』と『タクティクス』が売れて、売り切れに。

(世の中、分からんもんだ。(^^;))

とは思ったものの、まだ吟遊詩人のスキルが2つほどあった。

(ありえないな。多分、売れ残りそうだし。)

と思っていた矢先。

「あー!久しぶりw」と嬉しそうな声がした。

(ん?どこだ??)とあたりを見回すと

「久しぶり(^^」と嬉しそうな顔でやってきたのは

以前バリスの露店で『バードヒステリック』を買ったディクスだった。


「あ、服が変わってるな。(・・」ふと気が付いたバリスに

「うんwこれは、シドフォームっていう衣装だよ(^^」

と言いながら、クルリと一回転するディクス。

(なるほど。Lv上げてんだなぁ(・・))と思っていると

「コレとコレちょうだい(^^」と笑顔でスペルブックを指差した。

「了解。」と言うとスペルブックを渡すバリス。

「えへへwありがとう(^^」と嬉しそうな顔で笑うディクスに

バリスもなんとなく笑顔になってくる。

(いい笑顔をする奴だ。…はっ、違う、違うぞ。

決して恋とか愛とかじゃない。

ああいう『いい笑顔』されるとつい伝染してくるんだ(><))


その後、ディクスと会うと笑顔になってしまうバリスがいた(^^;


とりあえず、そのうちこの人に栄光あれ(マテ