光の導き〜第3話〜


三話って言うか、二の続きです(眠くなって、途中で止めてしまった;;)
というわけで、続きいきま〜〜〜ww

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普段なら、小鳥のさえずりや、虫の泣き声が聞えるはずの森
それが、今は途絶えていた
まるで、森そのものが、おびえているように・・・・・

「ただ事じゃないぜ・・・・・」
珍しく緊張した声で、ルークは呟く・・・瞳を閉じたまま・・・

普段から、ルークは危険を察知する能力に優れていた
そして、本当に危険だと判断すると、目を閉じる癖があった
本人に言わせれば、”その方が落ち着くし、あたりの気配が読みやすい”のだそうだが、

PTを組んだことのある俺から見たら、
”ルークの癖が出る=判断を間違えれば、死ぬ”という方程式が成り立つ・・・・

「そう・・・だな・・・・」
俺は、ルーシアを抱え起こすと、持っていたヘルリクシャを飲ませる
続けて、毒消しも・・・

”毒が普通の物よりも強い・・・・”

これでは、すぐに毒がぬけることはないだろう
毒が抜けるまでは、ルーシアをむやみに動かせない

「お前、ウィザードゲートを覚えたはずだろ?それを使って逃げられないのか?」
「無理だ・・・
 グループの証であるペンダントがないと、一緒には飛べない」

グループ証は、町でも簡単に手に入る
ただ、ちょっとした手続きをとらないと、特定のPTとの証にはならない

”うかつだった・・・・・”

必要最低限の道具しか今は持ってきていない
普段なら、予備のペンダントを持っているはずなのに・・・・

「そっか・・・・」
ルークはいつの間にか愛用のナイフを握り締めている

そして、目を見開き、一ヶ所を凝視していた
木々が密集している、その奥を

ガサリ バキバキッ

木の葉を揺らし、木をなぎ倒し、そいつは、俺たちの目の前に現れた
ドロイカンナイトとドロイカンマジシャン、そしてネクロケスタが10匹ほど・・・・

ドロイカンは、悪魔と契約をし、幼竜を操る術を見につけた騎士と魔術師たちである
本当なら、ルアスの騎士団たちによって、ルケシオンダンジョンの奥に追いこめられていたはずだ

ネクロケスタにしても、邪教を信奉し、生贄の儀式などをしていた事がとがめられ、
サラセンダンジョンの奥深くに幽閉されていた種族のはず・・・・

それがなぜこんな場所に・・・

「さすがにこいつは無理だぞ、逃げようぜ」
視線は敵からはずさないまま、ルークが呟いてくる
確かに、ルークと2人だけなら、WGで逃げる事もできる

しかし・・・・

俺は、小さく呪文を唱え始める

「仕方ねぇか・・・・・やれるところまでやろうぜ」
唱えている呪文はWGではない
ルークも、良く俺が唱えるところを見ているはずだ

”すまない・・・”
心の中でルークに謝りながら、呪文が完成する
完成と同時に、俺のそばに顔の形をした”フェイスオーブ”が現れる

古の魔術師の魂が込められ、魔力を持つオーブ
持ち主が呪文を唱える事で、瞬時に手元に現れる

唱えていたのは、オーブの召還呪文・・・・
それは、俺が戦う事を決意した証だった・・・・

ルーシアを木陰に移し、俺は立ち上がった
ルークと肩を並べると、ルークが口の中で呪文を唱えているのが聞える

”そういう戦法か・・・・”
呪文から、ルークの考えを読み取った俺は、すばやく呪文を唱える

”クイックスペル”

全ての精霊たちに呼びかけ、その力を短時間だが借りることができるの呪文
普段なら、各呪文に織り込まれている精霊たちへの呼びかけを、これを使えば、省略できる
短い間しか効果は持続しないが、今回は、その時間ないに倒せなければ、こちらがやられるだろう

”悪い方に考えるのは、俺の悪い癖だな・・・”


俺とルーク、2人の呪文は同時に発動した

ルークの姿が掻き消える

”インビジブル”ルークが唱えていた呪文はそれだった
ルークが掻き消えるのと同時に、敵たちは、動き出す

”注意を引かなきゃな・・・”

俺はすでに、次の呪文の詠唱に入っていた
クイックスペルの効果もあり、呪文は即座に完成する

「ファイアストーム!!」
火球を作り出し、それが着弾した場所で、大きくはじける

ど〜〜〜ん!!

盛大な音とともに、はじけた火炎が密集していた全ての敵を包む
それが、戦いの始まりを告げる、合図だった・・・

火の渦の中から、敵たちが次々と現れる
最初の一発で仕留められるほど甘くないのは分かっていた
場所を移動しながら、次の呪文を唱える

「アイススパイラル!!」
俺の最大の魔法が、ネクロケスタの一匹を仕留める
それと同時に、ドロイカンマジシャンが倒れふす

魔法の効果の外にいたのだが、理由は分かっていた
インビジによって姿を消したルークが、背後から倒したのだろう

ルークの作戦が分かっていたから、最初の一発は派手なものを選んだ
俺に注意を向けるために、そして、もう一つの理由で・・・

「フレアバースト!!・・・・ファイアウォール!!」
「くそったれ〜〜!とっととくたばれってんだ!!」

俺が、攻撃のために、ルークの掩護に唱える呪文と、ルークの気合の声(怒声?)が、森に響き渡る
インビジはとうに効果が切れ、ルークは姿をあらわしていた

敵の攻撃をかわしながら、一体ずつ確実に仕留めていくルーク
しかし、身軽なルークでも、避けきれずに攻撃を受け服を血だらけにしていた

残る敵は、ドロイカンナイトと、ネクロケスタが4匹

「くらえ!!」
ルークの”えぐり”がネクロケスタの一匹に決まる
その巣着に、別の一匹が手に持った杖で、背後からルークを横殴りにする

吹っ飛ばされるルーク、だが、いつの間にか懐から取り出した予備のナイフを空中で投げつける
ナイフは、ルークを殴り飛ばした奴の眉間に刺さり、そいつはそれきり動かなくなる

吹っ飛ばされたルークも、倒れたまま、身動きが取れないでいるようだ
そこを狙って、ネクロケスタがルークに歩み寄る

「ルーク!!くそったれ〜〜!アイススパイラル!!」
ルークを狙い、杖を振り上げたネクロケスタは、
俺の魔法を背後から食らい、その格好のまま氷の彫像と化す

それと同時、俺の身体は、炎に包まれていた

”バーニングデス”
相手の身体を、魔力の炎で包み、持続的にダメージを与える魔法
最後に残ったドロイカンナイトが、ルークの掩護に気を取られた俺に魔法をかけていたのだ

”最後の一匹に、やられてたまるか!!”

気力を振り絞り、アイススパイラルの呪文詠唱に入る・・・
視界が揺れた・・・・

魔法を使うには、それなりの魔力が、そして、精神力がいる
最大級の魔法を連打していたので、その魔力と精神力が尽きたのだ

”こんな時に・・・・”

膝が折れ、それでも身体は止まらず、地面に倒れふす

「ファイアーボール!!」
聞えてきたのは、ルーシアの声
いつの間に復活したのか、立ち上がったルーシアが、ドロイカンナイトに向かって魔法を放っていた

「お師匠様から離れなさい!!」
さして痛手でもなかったのか、ゆっくりと振り向くドロイカンナイト

”逃げろ”

叫ぼうとしたが、声にはならず、唇もかすかに動くだけ
ドロイカンナイトは手に持った槍を振り上げ・・・・

その瞬間ドロイカンナイトの動きが止まる
その足元には、五紡星の魔方陣が浮かび上がっていた

その頂点に灯がともる
視界の端に、高位のローブをまとった神官がいた

そして、ロングソードの一閃で敵を両断する戦士の姿も
二人の姿には、見覚えがあった・・・・・

”助かったのか・・・・・”
安堵とともに、俺の意識は深遠へと沈んでいった

目を開けると、星空が見えた
そばには、焚き火を囲んで話をしている人影が四つ

「私の名前はセリス、こっちの戦士はサーディアンよ」
「よろしくな、お嬢ちゃん」
「よろしく、私は、ルーシアって言います」
「よろしくじゃねぇよ。とっとと助けにこいよな」
「言ってくれるわねぇ。レイクとあなたの傷、治してあげたのは誰だと思ってるの?」

四人の声が、耳に入ってくる

「それにしても、よく切り抜けたもんだ、あれだけいたら、4人でも大変だったぞ」
「あいつがぶっ倒れるまで魔法を連打したおかげだな」
サーディアンと、ルークが、さっきの戦闘の事を話している

「でも、ルーシアちゃんドロイカンとまともに張り合おうなんて勇気があるわ」
「勇気じゃなくて、無謀なだけだ。下手をすれば、死んでいる
 敵わない敵に立ち向かうなんてことは、冒険者のすることではない」
楽しげに、そして歌うように話すセリスと、仏頂面を崩さず生真面目な声で話すサーディアン

「それ・・・・昨日師匠・・・じゃなかったレイクさんにも言われました」
それを聞いた三人は、顔を見合わせると、とたんに腹を抱えて笑い始めた

「それは、あいつが言うセリフじゃねぇよ」と、ルーク
「確かに、説教できるようなキャラクターじゃないわよねぇ」セリスまで・・・
「あいつがそんなことを、ほんとに言ったのか?」笑いをこらえてまで言うか?サーディアン
「そんなにおかしいことなんですか?」
不思議そうに問い掛けるルーシアに答えたのは、セリスだった

「その言葉ね、あの人が見習いだったころに、あの人のお師匠様からよく言われていた言葉よ?」
続けて、ルークとサーディアンも

「あいつも似たような事、よくしてたもんなぁ」
「ポンポンに不意打ちされたときなんて、いい例だな」
まだ不思議な顔をするルーシア

「余計なこと、吹き込むんじゃない」
俺が起きている事に気がついてなかったのか、セリスが慌てて俺のそばに駆け寄る

「まだ動いちゃダメよ!!あなた全身に大火傷を負ってたんだから!!」
そういや、俺はBDをもろに食らったんだっけ・・・・

「大丈夫さ、セリスの魔法は、よくきくから」
笑顔を向けると、セリスは、照れたように、微笑みを見せてくれた

「ルーシア・・・・・一つ聞いてもいいか?」
俺の言葉に、緊張した顔を見せるルーシア

このとき俺は、ピンキオが言った言葉の意味がはじめてわかった

「お前は、どんな魔術師に・・・・冒険者になりたいんだ?」

”お前に似ている。教えるなら、お前が適任だ”

「困っている人を助けられるように・・・・
 仲間をきちんと守れるようになりたい」

忘れていたつもりはないが、再確認する事はなくなった、冒険者を目指した理由

「さっきの俺みたいに、仲間を助けようとして、自分が命を落としそうになってもか?」

心に決めても、守り通せない奴もいる
逆に、守り通して命を落とした奴もいる・・・・・それが冒険者

「さっきのを見て、余計に思うようになったよ!
 足手まといになりたくない、逆に助けられるようになりたい!!」

”お前と似ている・・・か。確かに、見習いのころの俺にそっくりかもな”

苦笑をもらしそうになるのを我慢しながら、俺は真面目な声で言った
「だったらきちんと力を身につけろ。そうしないと、仲間の命を奪う事になる」
うつむいてしまったルーシアに、言葉を続ける

「本当にさっきの言葉を守る気があるなら、俺がお前に教えてやるよ
 人を助けるための技を、自分のみを守るための技を
 かつて、俺の師匠が俺に教えてくれたようにな・・・・」

驚いて、顔をあげたルーシアに、笑顔を向けると、最後の言葉を口にのせた

「お前は、たった今から、俺の弟子だ」

こうして、ルーシアは、俺の弟子になった
これからいろいろな事が起きるだろうけど、俺に教えられることは全て教えてやろう
ルーシアの冒険は、まだ始まってさえいないのだから・・・・