古の賢者達〜第13話〜


俺達が、味気ない乾燥肉とパンと、水だけを口にしている間に、
見習たちは、セリスのシチューを全員2回以上お代わりをしていた。

細い身体をしている、女の子達までお代わりをしているのを見ていて、
どこにあれだけ入るのだろう・・・・と不思議に思ってしまう。

セリス自身は、みんなが食べてくれるのが、嬉しいのだろう。
見習達に、シチューをついで上げている。

”ほとんど食べてないんじゃないのか?”

そう思ったりもするのだが、
セリスの器も、空になっているから、食べてはいたのだろう。

”そういや、ダイエット中とか聞いたな・・・・少し前に”

「お師匠さま〜〜〜?」
考え事をしている俺に、ルーシアが話しかけてきた。

「この奥って、カタツムリしかいないんだよね?」
「そうだよ?」

まぁ、見た目カタツムリだしな・・・・・

「はーい」
俺の答えを聞くと、ルーシアは、見習達のところに行って、何か話している。

「何してんだよ」
俺が聞くと、

「ん?準備だよ?」
そんな答えが帰ってきた。

私は、みんなのところに戻ると、
「ねぇねぇ。みんな、装備の確認しよ」
そう話しかけた。

「確認って?」
ザビーネちゃんが、不思議そうな顔をして、問い掛けてくる。

「んっとねぇ。私、前に本で読んだんだけど・・・・・」
私は本の内容を頭に思い浮かべながら、話す事にした。

「魔法のかかった”属性ベルト”っていうのがあるのはみんな知ってるよね?」

みんなが頷いてくれる。

「魔法の保護によって、
 土、水、火、風、神聖、暗黒、不死、の7種類の防御がかかるベルトなんだけど
 モンスターによっては、攻撃に、属性を持つものもいるんだって」

「あ・・・僕も聞いた事あります。
 僕の使ったプレイア、あれは、神聖属性の攻撃なんですよね」
ジーク君が、頷きながら言ってきた。

「うん。魔術師の魔法は、いろいろな属性があるけど、
 確か聖職者のプレイアや、パージフレアは神聖属性。
 でね、その属性の相性を利用したら、傷を浅く出来たりするんだって」

『そなんだ〜〜〜〜〜』
みんながいっせいに言ってくる。

「でね、このダンジョン、ここから先は、”カタツムリ”しか出てこないらしいの」
本で調べてきたし、お師匠様に確認を取った事も告げる。

「で、ここに生息しているカタツムリは、
 土属性の攻撃をしてくるらしいの。
 だから、みんなの装備を確認して、
 攻撃を受ける事が多い人には、土属性のベルトしててもらいたいなって思って」

「何してんだよ」
後ろのほうから、お師匠様の声。

「ん?準備だよ?」
お師匠様に振り向いて、私は答えた。

ルーシア達に近づくと、各自の荷物の中から、ベルトを出して、見せ合っている。

「ん〜〜〜っと土ベルトが6個か〜〜〜」
みんなの荷物を見て、ルーシアが声をあげる。

「じゃぁ、前衛の5人は土ベルトね。
 残りひとつは・・・・・ジーク君。
 ジーク君のプレイアも結構頼り甲斐あるしね」

”なるほどね・・・・・属性の事もちゃんと勉強してたのか”

知らないうちに、いろいろと勉強しているルーシア。

”出発前に、俺が話そうと思ってたのにな”

苦笑を浮かべているのを自覚しながら、見習達の準備を眺めている事にした。

「あ・・・・そう言えば、私のお師匠様から聞いたんだけど、
 スオミダンジョンの最下層付近では風系の魔法使えって言ってたよ?」

「あ・・・そう言えば、カタツムリって、土の防御属性だから、
 風系の攻撃だと、ダメージ大きくなるんだ。
 じゃ、メダルも変えなきゃね」

”そうそう、そういう積み重ねで、戦闘を楽に運べるようになるんだ”

心の中でつぶやきながら、俺は傍観者に徹する。

「あ・・・なら、僕達、風のメダル持ってるよ?
 ネ、カリン」

「お師匠様からもらったのがあるよね」
ユリアンが言い出して、カリンと二人、カバンをあさり始める。

「私もあったかも?」
ザビーネの言葉に、フレデリカもカバンを探し始めた、

「私も持ってるから、私のは誰かに貸すね」
ヒルダがきちんと整頓されたカバンの中から風メダルを出して見せる。

「うわ〜〜〜風のメダルも一杯ある〜〜〜」

みんなが出してくれたのと、私と、シャルロットちゃんがもってたのを合わせて、
メダルも6個あった。
(結局フレデリカちゃんのカバンからは風メダルは発見されなかった)

「これで、前衛と魔術師の二人にはメダル行き渡るね」
「あ・・・・そう言えば、サーディアンさんはあるんですか?」
私達だけで確認してたから、忘れてた・・・・

「メダルとベルトか?」
いつの間にか、お師匠様たちが寄って来て、
私達の準備を眺めてたみたい。

「心配しなくても、俺達は持ってるさ」
お師匠様たちは、笑いながら、風のリビエラを掲げて見せる。

「いくつずつ足りないの?」
セリスさんが、たずねてきた。

「んっと、メダルは前衛と、魔術師の分ありました。
 ベルトが5つしかないから、3つ足りないけど・・・・・」

お城を出発するときに確認しておけばよかった・・・・

「じゃ、これ貸してあげるね」
そう言って、セリスさんが出してくれたのは、土属性の最上級ベルト。

「俺達は、ロダバンドや、メカバンドがあるからな」
お師匠様と、ルークさんも、セリスさんと同じベルトを渡してくれた。

「それって、暗黒属性のベルトと、神聖属性のベルトですよね?」
びっくりしたカリンちゃんが、お師匠様たちを見つめている。

「使い勝手がいいからな、このベルトのほうがさ」
ロダバンドを見せびらかしながら、ルークさんが笑っていた。

「さ、数がそろったところで、さっさと装備して、今日の探索に入るぞ」

『お〜〜〜〜!!』
お師匠様の言葉に、私達の掛け声が答えた。