古の賢者達〜第10話〜


「ほらほら、あの階段降りたら休憩させてやるぞ〜〜」
走りながら、後ろを振り向いて、見習達に激励を飛ばす。

ついでに、その後方を指差して・・・・

「クロスモノボルト!!」
追ってきていたスネイル達を蹴散らしておく。
今いるのは、スオミダンジョンの地下26階・・・・

お師匠様が呪文を解き放った瞬間。
私達の頭上に光の球が現れた。
そこから、無数の雷撃が、追ってきていたモンスターを打ち据えていく。

”当たらないと分かってても、怖いよ〜〜〜〜〜〜”

後ろを見ると、モンスターは一撃で真っ黒こげ・・・

”ひえ〜〜〜〜〜”

目の前にある階段の1歩手前で、お師匠様が振りかえる。

すかさず、セリスさんが、サーディアンさんに魔法をかけて、
二人でいっしょに階段を降りていく。

二人が下の階を制圧するまで、お師匠様と、ルークさんの護衛で、
私達は階段入り口に待機。
ここまでずっと、この調子で、ダンジョンを降りてきた。

「きゃっ!!」
私達がお師匠様の元へ急いでいると、後ろで悲鳴が上がった。
振り向くとそこには、倒れこむヒルダちゃん。

足元に落ちてた投げやりに躓いちゃったみたい・・・・
そのヒルダちゃんへ、物陰に隠れていたスネイルが、槍を振りかぶった・・・

”まっず・・・・・”

階段周りを掃除するのに魔法を解き放った直後。
おまけに、クイックスペルまで効果がきれている・・・・

「ちっ!!」
慌てて飛び出すルーク。
俺も、ウインドアローの詠唱をはじめる。

”間に合わない・・・・・・”

「ヒルダ!!」
私達の最後尾を走っていたジーク君が、
慌ててヒルダちゃんと、スネイルの間に割って入る。

片ひざをついて、杖を垂直に構えて・・・・・

”あれで受けとめるつもり?”

「無茶だ、逃げろ!!」
私とすれ違いながら叫ぶルークさん。
遠く聞こえる、お師匠様の詠唱。

スネイルが槍をジーク君と、ヒルダちゃんに振り下ろす・・・・

「プレイア!!」
ジークの叫びとともに、スネイルが持っていた槍ともども塵と滅する。

”あいつ・・・あんなスキルを・・・”

そのとき、視界の隅に、投げ放たれた槍が映る。

”まだいたのか!!”

即座に呪文の標的を、槍に切り替え、間一髪で叩き落す。
その一瞬で、槍を投げたスネイルは、ルークのナイフで一突きされていた。