トラブルプリンセス・氷の城へ行く・・・ 第一話



これは、やんちゃなお姫様とある盗賊の物語・・・・・・



「失礼・・・・・・」

ある男と、女性の肩がぶつかった。

男は人気のない路地に入ると、財布を取り出した。

男の名は「レオ」。

ルアスに住む盗賊で、スリで生計を立てている。

盗賊といっても、彼のように悪事を働くものは少ない。

むしろ、未開の地の探索などをしているものが大部分だ。

そしてその探索結果は、地図の作成に役立っている。

レオはスリ以外の悪事はしない。

ただ単に、他の仕事が出来ないだけなのだが・・・・・・

そのとき、少女がレオに近づいてきた。

歳は彼より少し幼いくらいだろう。

レオは少女に気が付くや否や、インビジブルを唱えて逃げ出そうとした。

しかし、少女の手はレオの腕をしっかりとつかんで離さない

「レオ、まだこんなことをしてるのね。」

呆れながら少女はそう言った。

まだ幼い顔つきだが、その頭にはお姫様の証でもあるティアラをかぶっている。

少女の名は「ソフィア」ルアスのお姫様だ。

レオはしばらく抵抗していたが、あきらめたのかインビジブルを解いた

「お前の頼み事は絶対に受けないからな!!」

少女は笑いながら言った

「幼馴染の頼みごとが聞けないって言うの?別にいいわよ。

聞けないって言うなら、今までのあなたの悪事、お父様に言いつけちゃうから」

「誰が幼馴染だ!!」

レオが怒鳴る。

「小さい頃から城を抜け出してきたお前に脅迫されてるだけじゃねぇか!!」

ソフィアはまた笑いながらこういった

「そんなこと言ってもいいのかしら?

レオ、あなた今まで何回スリをやったのかしらねぇ。気になると思わない?」

そして彼女は微笑む

「頼みごと・・・・・・聞いてくれるなら言わないであげるわよ。」

レオの顔は笑ってはいなかった・・・・・・

「・・・・・・ったく、お前の頼み事はいつも命にかかわるんだよ!!

それに、毎回おなじ手で頼みに来やがって・・・・・・」

「あら?それは引っかかる方が悪いのよ。」

自分でもわかっているのか、レオは何も言い返さない。

「で、今回は何なんだ?もうハイランダーの剥製なんてごめんだからな。」

ソフィアは、大丈夫とでも言うような顔をしている。

「観光よ、観光中の護衛をお願いしに来たの。」

レオは観光の間の護衛と聞いてほっとしたようだ。

「ハァ・・・・・・観光かよ・・・・・・今回は楽でよかったぜ。

・・・・・・で、どこへ行くんだ?引き受けてやるよ。」

「氷の城よ」

ソフィアはさらりと言った

「氷の城か―――解った・・・・・・って、えぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

この時のレオの叫びは、ルアス中に響いたそうな。

 続く