第二話〜ミルレス国の危機〜 ルアス王国〜外〜ミルレスへの道 「はぁ・・・ずいぶん歩いた気がするな・・・」 ゲイルがつぶやいた。ランスが言う。 「おれはそんなことよりも、お前のランクに追いつくことばっかり考えてら。」 ゲイルとランスのランクは少し離れていて、ゲイルの方が高い。 ゲイルは騎士のランクBで、ランスは戦士のランクSである。 「そこっ!うるさいぞ!」 前を先行している長官が怒鳴った。 二人は顔を見合して、少し笑った。 ルアス・ミルレス道 「見えてきたぞ・・・ミルレスの城だ・・・」 今いる場所は、見晴らしがよく遠くまで見える。 「頑丈な警備だな。もしかしたら、密告者がルアスの中に・・・」 長官がつぶやく。 「一気に合流地点まで行くぞ。こっちだ。」 長官の言うがままに進んでいった。 ミルレス国〜城〜王の間 「来るぞ・・・準備はいいのか?大臣。」 「はっ・・・完璧な警備です。あとは、あなたを・・・」 王が席を立つ。大臣と一緒に部屋を出て行った。 少しすると、王が部屋に戻ってきて、また席に座った。 スオミ大国〜城〜王の間 「いいのですか?このまま放っておいて。」 隊長のような格好の人が、王に話しかけた。 「いいのだ・・・いずれどちらかが消えるだろう。」 「一応、部隊の編成をしておきます。いつでもおっしゃってください。」 隊長のような人が、王の間から出て行った。 「いずれ・・・何もせんままに、戦いは終わるだろう。」 ミルレス国〜領地〜合流地点 「合流地点は三つある。それぞれの場所から、それぞれの攻撃をする。」 長官の話が始まった。ここには四つの隊が集まっている。 『先行突撃隊』これは、俺たちの隊で、敵陣に特攻する部隊。 『後方防衛隊』これは、後ろに洩れた敵を狙撃する部隊。 『司令防衛隊』これは、司令部を守る隊で、志願兵がここにつく。 『情報偵察隊』これは、姿を消した盗賊が、司令部に戦場の情報を報告する隊。 この四つが三つの合流地点に、それぞれ配備されている。 「それでは、健闘を祈っている。」 全員が長官に敬礼する。 「よーし。戦果をあげて、昇格してやるぞ。」 「気合入ってるな。ランス。」 ゲイルの顔に元気は無かった。 「どうしたんだ・・・?」 ランスがゲイルに声をかける。しかし、ゲイルは無言だった。 「作戦開始五秒前!五!四!三!二!一!作戦開始!!」 作戦が始まった。また、戦争が始まったのだ。 ゲイルは気の乗らないまま、先行していった。 ミルレス国〜最前線〜戦闘中エリア 激戦が繰り広がっている。ゲイルたちも必死に戦っている。 敵の前線からは、修道士の、遠距離攻撃が複数飛んでくる。 ゲイルは、何とか接近戦に持ち込んで、敵を排除する。 この中で、悲鳴がおきる分だけ、人は命を落としていく。 なんとも非情だ。戦争は誰もがやりたくない。 敵に取り付いたルアス兵達は、かなり優勢だった。 しかし・・・ 「隊長!!!!!!!!!!!」 ゲイルの目に飛び込んできたのは、俺たちの隊の隊長が斬られた姿。 ゲイルは慌てて斬った奴を斬り、隊長に駆け寄った。 「隊長!!!!!!!!!!!」 「ゲイルよ・・・お前がこの隊を導け・・・頼んだぞ。」 隊長は息を引き取った。ゲイルの中で何かが切れた。 ゲイルはランスの方に走った。そして・・・ 「ランス!一気に城に乗り込むぞ!敵が洩れても構わん!!」 「ゲイル!どうした!・・・しかし隊長の命令でないと─」 「隊長は死んだ!そして!隊長の命令で俺が隊長だ!!」 ランスは驚いた。隊長がやられた・・・!? 「わかった!行こう!城へ!!」 二人は、敵の中を潜り抜けながら城を目指した。 ミルレス国〜ルアス司令部B〜長官席 「長官!」 長官のいるところに『情報偵察隊』の情報の書いた紙を持った兵士がやってきた。 「どうした!何かあったか!」 「はい!Bチーム『先行突撃隊』の隊長は戦死!その部下が引き継ぎました!」 「して、どのような行動をとっているのだ?」 「はい!そのあと、部下十二名中十名は別働隊に・・・あとの二名は・・・」 少し驚いた顔をしながら読み上げる。 「えっと・・・二人は独断で・・・城に特攻・・・門を破り中に侵入!!??」 長官や、そこにいた全ての人が驚いた。 「これは・・・勝てるぞ。」 ミルレス国〜城〜王の間 「ここの王の首をいただきにきた!!」 王の間の扉を勢いよく開けたゲイルが叫んだ。 「なに・・・ここまできたのか!!」 ミルレス王が席を立って言った。 横から二人の修道士が出てきた。 鎧のような服に、微妙なマントをつけた格好をしている。 「なるほどね。簡単にはいかないってか。」 ゲイルが槍を取り出した。続けてランスも剣を取り出した。 修道士は遠距離攻撃を放った!二人は避けた! しかし、その衝撃で舞った煙に視界を阻まれた! 「しまった!!」 ゲイルの前に煙で隠れた修道士が出現! 手に炎をまとって、一気にゲイルに打ち込む! ゲイルは間一髪避けて槍を突き出す! 槍は修道士に直撃!修道士は倒れた! しかし、後ろにいた聖職者が修道士の傷を癒した! 「このままでは・・・!!」 そのとき!王のいた方で「うっ」っと聞こえた! ゲイルが振り向くと、盗賊が王を刺していた! 「これで・・・この戦いは終わりだ。」 修道士がグローブを落とす。俺たちは一安心した。 盗賊は窓を開けて叫んだ。 「やったぞー!ミルレス王は死んだ!俺らルアスの勝利だ!!」 下で歓声が起こった。戦いは終わった。 いまの状況を見れば・・・。 「よかった・・・」 ゲイルは槍をなおした。ランスの顔にも笑顔がこぼれた。 そこに一人の盗賊がやってきた。 「新しい情報です!ミルレス王がカレワラに逃亡!追ってください!」 「何!!??」 そこにいたみんなが驚いた。こいつは・・・偽者だったのだ!! 「出陣編成隊は少数です!あなたの隊と、あと二つ隊がつきます!」 「なんで三つしか行かないんだ??」 ゲイルが盗賊に聞いた。 「ここの処理と、残存部隊の処理などがありますので。」 「どこにいけばいい?」 「この地図の・・・この場所に行ってください。」 「わかった。行くぞランス。」 ランスは黙ってついて行った。 「なんで引き受けたの?戦いは嫌だって・・・」 「理由はひとつ・・・本当の意味で戦いを終わらしたいだけさ。」 〜次回へ続く〜
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