SS第二話〜あの時の武士のお話〜


〜ノレス忍国の城の中(裏)〜

この部屋に一人の武士がいた。『信長』である。彼の任務は侵入者抹殺。
侵入者とはもちろん聖騎士のこと。騎士が同行しているという。

信長はこの静かで何も無い部屋でじっと待っていた。予想以上に遅い。
目を閉じたままじっと立っていた。すると足音が聞こえてきた。
大きな扉を勢いよく開けて二人の騎士が入ってきた。

「我が名は『信長』。これ以上は行かせん」
信長が入ってきた二人に言った。

「いや、行かせてもらう!おとなしく下がれ!」
聖騎士が叫んだ。しかし、

「ほぅ・・・やる気か。死んでも知らぬぞ!」
信長は聖騎士に向かって走った。というよりも瞬間移動した。
速すぎて見えないだろう。聖騎士の死角に潜り込んで攻撃しようとした。

「危ない!」
と、騎士が信長の抜いた刀を槍で防いだ。

「すまない!」
と、聖騎士が一歩下がる。

口ほどにも無い。一気にけりをつけさせてもらう。

「私には絶対に勝てない。勝てるはずがない」
聖騎士の顔が下を向いてなにかを考えている。
そして聖騎士は再び信長を睨みつけて言い放った。

「まだまだ!戦いは始まったばかりだ!」
聖騎士が槍を構えて信長をじっと見ている。
信長は刀を握りなおし聖騎士に向かって瞬間移動して刀を振る。

聖騎士は何かに気づいたような顔をした。
聖騎士が槍をさっと振る。すると信長に当たり信長は吹き飛んだ。
信長は何が起こったのかわからなかった。自分の速さに対抗してきた。

「ランス!パターン758だ!わかるか!?」
「パターン758・・・そうか!OK!」

なにやら作戦がああるらしい。しかしそれで信長はやられるとは思わなかった。
信長は騎士に向かって攻撃を再度仕掛けた。

「何がパターン758だ。笑わせるな!」
信長は言った。信長は負ける気がしなかった。二人は弱いと思ったから。

騎士はじっと信長の方を睨み的確に攻撃を避けた。
少し驚いた信長を騎士は槍で吹き飛ばす。信長は壁にたたきつけられた。
信長は一瞬よろめいた。そこに聖騎士が接近し、槍を力いっぱい押し出してきた。

信長の鎧は堅かった。それでも衝撃は大きく信長は気を失った。

「これ以上は無意味だ。行こうランス」
「わかった」

聖騎士と騎士は信長に止めを刺さずに奥へ進んだ。
負けた。敵を翻弄しようとした自分が翻弄された気がする。

完敗だ。もしかして奴らなら『奴』を止められるかもしれない。
俺はどうしたらいい。このままこうして何もしないのか。

前から『奴』の行動は気にくわなかった。人を道具をしか思っていない。

そうか・・・おれも道具だったんだ。そうか・・・なるほどな・・・。
このまま『奴』言いなりのまま死んで行くのか。しかしそれでは・・・

「悔いが残る」信長は最後の力で袋から薬を取り出した。
その薬をくっと飲んだ。すると体から傷が消えていく。

この薬は十年に一枚しか取れないという『世界樹の花』である。
今持っているのは二つのみ。そのひとつを飲み干した。

〜ノレス忍国の城の中(王の間の手前)〜

信長は王の間の手前まで来た。周りを見渡すと戦いのあとが。
死亡者三人に・・・ん?一人生きているじゃないか、と信長が心の中で言った。

さっき戦った騎士だ。まだ息がある。出血も少ない。
王の間の中から音が聞こえる。戦ってる最中らしい。

信長は王の間に入ろうとしたが騎士が気になる。袋から最後の薬を取り出した。

サイドストーリー第二話〜あの時の武士のお話〜完