最終話〜戦争で得るもの失うもの〜 〜ノレス忍国の城の中(王の間)〜 信長は刀を横に構えて少しずつ前に前進していく。いったい何が始まるのだろう。 秀吉は何かわかった。自殺技。自分の魂を『気』に変えて敵を全てなぎ払う技。 ゲイルとランスには何が始まるかわからない。わかっていたら止めていただろう。 「全てをなぎ払う力をくれ。『超玄武無双』!」 この技は信長家に代々継がれている技。しかし使うのは信長が始めてなのだ。 信長が震えだす。そして周りに赤く光る『気』が現れた。秀吉はただ見ている。 信長が刀を上に振り上げた。すると赤い『気』が刀に集まっていく。 「デァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」 信長が大声で叫ぶと刀を振り落とし赤い『気』が秀吉に向かって走っていく。 地面を削りながら、どんどん勢いを増す。秀吉は避けることができない。 もし避けるとノレス王に当たってしまうからだ。 「やらせはせん!やらせはせんぞぉぉぉぉぉぉぉ!」 三人の秀吉は前方に立ち三人の刀で『超玄武無双』を止めようとする。 しかし、かなりの威力で三人で止めようとしているのに後ろに進んでしまう。 三人の刀にひびがはいる。さらに『超玄武無双』は勢いを増す。 「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」 秀吉が光に包まれる。『超玄武無双』は王に届く前に秀吉と同時に消えた。 ゲイルとランスは唖然とする。そして信長に目をやる。しかし・・・。 「お・・・おい・・・嘘だろ?」 ゲイルが言った。 信長が倒れている。息をしていない・・・。信長に魂は無い。 「信長ァァァァァァ!」 「おい!」 ゲイルの肩をランスが掴む。 「あと三分だ!ぐずぐずするな!」ランスはいつにも増して気が強くなっている。 ゲイルは小さくうなずいた。隕石はもう町を飲み込もうとしている。 ゲイルは王のほうに走った。間に合う。間に合う。間に合う。 間に合うと思っていたのに。いけると思っていたのに。最後と思っていたのに。 「グアアアア」「ランスゥゥゥゥゥゥ!」ランスに刀が刺さっている。 ランスが倒れる。そこにいたのは・・・秀吉。 秀吉は『超玄武無双』を止めれる、ぎりぎりの分身を出して本体は脱出していた。 秀吉の目はもう人の目じゃない。空腹に飢えた猛獣の目だ。 「ヤラスカァァァ・・・ヤラセハセンゾォォォ・・・」 秀吉はまっすぐゲイルを睨む。息は荒く、左腕が無く、鎧もすでにない。 残った兜の隙間から見える目にはゲイルしか写っていない。 ゲイルは槍を構える。しかしタイムリミットだった。 「これで終わりだ。全ての人間に恐怖を!」 王が言い放つ。ゲイルは窓から外を見る。するとスオミとミルレスに・・・。 「隕石が・・・」落ちた。大きな爆発が起き、町を飲み込む。 マイソシアの三分の二を飲み込む。ゲイルは遅かったのだ。 今までの努力は・・・戦争の意味は・・・多くの人は・・・。 戦争をして手に入れた物も一瞬で消えた。そして多くの命も。 たった一つのミスで。ゲイルは大きな罪悪感を感じた。 遅かった・・・おれのせいだ・・・おれが遅かったから・・・?! ゲイルの心の中でまた何かが切れた。涙を流しながら。 「まだまだ行くぞ・・・今度はルアスだ」と、王が言った。 また隕石が現れてルアスとマイソシア中心部に向かって落ちだす。 ゲイルの目にまた隕石が。そして秀吉が。しかしゲイルは・・・。 王に向かって走った。 隕石を止めるだけじゃなく・・・全てを終わらすために。 秀吉がまた分身してゲイルの前に現れる。しかしゲイルは一直線に進んでいく。 ゲイルの体に刀が斬りかかる。三人の秀吉にどれだけ斬られても進んでいく。 ゲイルは王の前に着いた。 「これでおわりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 ゲイルは槍は力いっぱい後ろに引いて王に向かって押し出す。 槍は王の体を突き抜けて王は倒れた。ゲイルも一緒に前に倒れた。 戦いは終わった。全てが終わった。隕石も消えた。しかし・・・。 失ったもの方が多かったのかもしれない。 二つの町が消えた。 得られたものは数少ない。 ルアスの国とマイソシア。 戦争が無かったら当然あった物。全ては戦争が原因。 戦争が無かったらみんな平和な日々を過ごしたかもしれない。 マイソシアに取り残されたルアスの国民はみんな涙した。 自分達の大きな過ちと家族を失った。マイソシアから笑いが消えた。 隕石のせいなのかモンスターが凶暴化する。町をモンスターが襲う。 ルアスはミルレスとスオミの復旧を急ぎ凶暴化の原因を探した。 ある男がノカンの凶暴化の原因を知った。原因を討つために旅人が増えた。 そしてある戦士が凶暴化の元凶を討ち取ってみんなにまた笑顔を戻した。 それはまた違うお話。《『ディグの冒険R&D』検索『騎士デウス』で見れます)》 この世界マイソシアにはもう戦争は起こらないだろう。 みんながこの話を知ればみなの心は善になるだろう。 全ての世界から戦争が消えますように・・・願います。 〜マイソシア戦記・END〜
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