Ancient memory 第八部 T


T


彼は思い出していた。
彼等は数ヶ月前に戦線から外れた。
というより、外されたのだ。
左手で奏でるハープの音と共にラスアは思い出していた。


1年前

テイルが目覚め、また旅が始まった。
それからまた古代の記憶を探していたのだが・・・
詳しい情報が見つからず、武具にいたっては一つも見つからなかった。
そんな旅が半年以上、続いていた。

そしてガイが一つ、提案をした。

しばらく、分かれて行動しないか。と

あまり遅いとアスク帝国の動向が心配であったがジェイスも賛成してくれた。
彼がいうには
平和ボケした兵士じゃ見つからない
とのことだ。

そして5人は分かれて旅を始めようとした。
しかし、セルシアが許さなかったことがある。

ラスアとテイルはこの旅から外れろと・・・

テイルが子を持っていたことに気づいており、これ以上の旅は危険だと。
本人は大丈夫だと必死に訴えたがラスア自身から止めようと言われ、惜しみながらも旅を終えた。

ミルレスでテイルの両親の墓参りをしたり、サラセンで元カプリコの魔術師の家を訪ねたり。
戦いを捨て、暮らしていくことを決めた。
最後に友の仇と妻を守り、戦いは終わった。




隣にいたテイルはいつの間にか眠ってしまっていた。
頭を肩の上に乗せ、動けない状態だ。

まるで彼がどこかへ行ってしまわないように、捕まえておく幸せの網のようで
それが彼にはとても嬉しくてもどかしくて。

ハープをそっと置こうとする。
彼女を起こさないようにテーブルへ手を伸ばすが届かない。
そのハープを誰かが取り上げ、代わりにそっと置いてくれた。
誰が置いてくれたのか、ラスアは確認すると声を上げそうになる。
しかし素早く手を口に押さえられた。
手の主はセルシア、人差し指を立て口元に当て静かに、と教えてくれていた。

彼女の後ろからはガイとジェイスが続いて入って来た。
そろそろと静かに入ってきたが赤髪の方が思いっきり転んでしまい大きな音をたててしまった。
勿論眠りこけていたテイルは目を覚ます。
まず最初にしたことは、ひどく赤面することだった。


Hunting result
懐かしい仲間
『再会』