Ancient memory 第三部 Z Z ラスア、テイルは早々に眠ってしまった。 そして朝早く特訓するから、とガイも寝てしまった。 外は明かりがほとんどなく星が煌いている。 「少し外に出ない?」 「そうだな、ちょっと出てみるか」 ミルレスと森が繋がる道の途中の橋の上で2人は腰を下ろした。 やはり雲が無く綺麗に星が並んでいた。 「あなた・・・迷っていたわね」 いきなりの、しかも核心を突いた言葉にジェイスは戸惑う。 「悪いことじゃないわ、確かにあの状況で・・・あの環境じゃどちらにつくかは歴然だものね」 「・・・確かに、迷ってたな。正直王国に敵対はしたくなかった」 自分の父を裏切り、そして自分が継ぐはずの国も裏切った。 許されることではない、今後多くの敵が立ち向かってくるだろう。 それをジェイスは覚悟し、セルシアと共に旅を続ける選択をした。 「だけどあの神秘的でワクワクするような古代のアイテムを軍事力にはしたくなかった」 「私たちはただ集めて、その謎を解きたいだけだしね」 「それで十分なんだ、兵士を遣わせて集めることじゃ国は発展しない。俺は・・・ 自分の手で何かを探したいと思ってた」 「だから家出したっていうの?」 くすくすと微笑み問いかけてみる。 「いやぁ・・・実はそれだけじゃあ無いんだけどな」 「お宝以外に目的があるなんて・・・初耳ね」 「厳しいねぇ・・・まぁ、俺は強くなりたかったんだ。騎士団長としてじゃなく、仲間を守れる男として 」 「・・・・・・ジェイスは・・・優しいわね」 「なんだよ、黙るなよ。照れくさいんだからよ・・・でもさ、俺はまだまだ弱い。 どこぞの船長にもやられちまうしな・・・」 「いいえ、あなたは強いわ」 元気付けるための上っ面だけの嘘じゃない、本気で強いと思ったからそう言ったのだ。 「裏切らなかったじゃない、国と敵対してまで私たちについてきてくれた。十分、強いわよ」 「そうか・・・そうだな。ありがとう、セルシア・・・・・・星、綺麗だな」 照れ隠しなのか、いきなり空を見上げて星を指差す。 ジェイスの目元が少し濡れていたような気がした。 「うん、綺麗ね・・・ねぇ、そっちに寄っていい?」 「ん・・・あ、ああ・・・」 やはり急いで目元を袖で拭っていた。 彼にも思うことがあるのだろう、私も一緒に、頑張っていこうと思った。 小さく、儚いかもしれないけれど 強く、剛く。 Hunting result 『ココロ』 これで第三部はお終いです。 第四部は『これから』です、暖かく見守ってやってください。