最終話 「結局、俺は今まで死んでたわけか」 「そういうこと、アイツに感謝しなさいよ」 私は疲労で大の字になって砂浜に倒れた魔術師を指差す。 「一度死んだ人と会話なんてね、変な気分よ」 「まぁいいじゃねぇかお宝手に入ったんだし」 コイツは大きな袋いっぱいに入った宝石や光り物を指差し、歯を出して笑う。 「全く・・・とにかく今日は疲れたわよ」 「俺も疲れたッスー・・・」 「じゃあ今日は酒場で奢ってやるよ!さっさとボート乗ろうぜ」 「あ、俺アネさんがキスしてくれればそれで十分・・・」 「・・・」 「・・・いや、なんでもないです。パスタ食べたいなー・・・ははは・・・」 船長が持っていたコマリク。 今は人を蘇らせるには大きな魔力が必要で・・・それを一つの道具に込めるには不可能と聞いた。 私は古代の記憶を探したくなった。 そしてその記憶を紡いでいくとどこに辿り着くのか。 それを知りたくなった。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 夜中、ルアスの宿屋から出る女性がいた。 風のように街中を駆け抜け、すぐに外へ続く門につく。 そこで男が二人待っていた。 「・・・やっぱり着いてくるのね・・・」 ため息混じりに言葉を吐く。 「古代の記憶を探す旅なのに・・・」 「金が溜まるからついていくだけだ!」 「アネさんがいるならどこまでも!」 「・・・勝手にしなさい」