5話、ゾンビ船長


なんとか復活いたしました〜
それとHNに少し問題があったのでHNをヒトリノ夜に変更します。




私の前の炎の壁が塵のように消えた。
確か魔法を発するには
術者からの魔力を常に送っていないと消えてしまうと聞いた。
つまりアイツからの魔力が途絶えた・・・ということだろう。
それがアイツの意思かは知らないが・・・

(とにかく急ごう)

それしか私の頭には浮かばなかった。


小さな森を風のように駆け抜け、3週間前のあの場所へ着く。
そこの光景を目の当たりにし、私は眩暈を起こす。

ここに来るまでに何個も見たようなモノ・・・骸骨が動いている。
筋肉も何もない、骨だけで動いている。
その骸骨の頭にはキャプテンハットが乗っていた。

そして多量の血に塗れたアイツ・・・

「ふふ、やっと着たか・・・なかなかこの前座は楽しかったぞ」
「貴様・・・!!」

腰元からJokerの字が書いてある爆弾を取り出す。

「無駄だ、3週間前と同じことをするつもりだろう」
「五月蝿い!!」

そして火を付け投げつける・・・が見切られて剣で両断されてしまった。
中からは黒い砂がたくさんあふれ出る。

「この姿を見ればわかるだろうが・・・私はアンデッド。
 骨だけとなり目さえもない。だが不思議なことに周りの状況がわかるのだ」
「つまりー・・・」
「視界を封じることはできないのだよ」

私はJokerの爆弾を全て捨てる。
少し興奮していたようだ、落ち着いて考えて・・・
愛用の短剣、メデンハプンを取り出した。

「剣で勝負か、それでも私は負けぬよ」
「私も近距離戦は苦手よ、さっきみたいに視界を無くしてから戦うの」

自慢の俊足で走り出す。
船長の間合いに入るまであと数十メートル。

「それでは君に勝機は無いではないか。自慢の爆弾も封じられているのに」
「それがどうかしたの?」

船長の間合いへあと一歩のところで
そっけなく一言残して・・・
消える。