吟英伝 その1


私は華麗なる吟遊詩人。

今日もぷらりと一人旅。

 
愛用のリヤカーに最新式のドラムセットを積み

意気揚々と狩場へ向かう。

 
戦士発見!

どうやら苦戦しているようだ。

すかさず駆け寄る私。

 
「補助いります?」

 
「た、たのむ!」

 
「おk♪」

 
颯爽とリヤカーのシートを剥ぎ、ドラムセットを地に降ろす。

重いドラムセットも、STR吟の私にとっては空気も同然。

あっという間に降ろし終えた。

 
「さて、組み立て開始♪」

 
「え゛!?」戦士がなにやらわめいているが私の耳には入らない。

 
凄まじい集中力!

 
「え〜と、これがこうなって…」

 
なんて面倒くさい楽器だ。

時間だけが虚しく過ぎていく。

 
「よし!完成♪」

 
やっと組みあがった。

椅子に座り、スティックを構える私。

 
「おまたせしました〜って墓かよ!!」

 
そして狩場をあとにした。

 
私は華麗なる吟遊詩人。

今日もぷらりと一人旅…