I WISH ・・・3 〜記憶と目覚め〜


暗い、、、闇の底を彼は歩いている。

闇にとけいるような長髪を揺らしながら…行く当てもなく、ただ闇を彷徨っている。

耳を澄ますと、小さく声が聞こえる、、、段々とその声は大きくなってきた。

「その力…「創造」の力。それを行使できるのは「王」のみ、貴様を滅する!」

「逃げて!レヴン!」

「邪魔するものは容赦しない、殺レ」

─グチャッ…ドサッ─

「貴様ぁぁぁ!よくもぉぉぉ!」

「お前も邪魔する気か、、、?」

─キンッ、キンッ、ブスッ、、、バタッ─

「愚かな、、、王属騎士団に邪魔だてするものには、死あるのみ。はやくガキを探しせ!」

「うぁああ!」
レヴンは悪夢から目覚めた。

見知らぬ、夕日が差し込む部屋のベットに、彼は寝かされていた。

・・・ここは、、何処だ?・・・

「あっ、あの人起き上がったよ、ししょ〜!」
不意に半開きのドアの向こうから声が聞こえた。

「あ〜ほんと、私はレイチェル、大丈夫かな?」
部屋にレイチェルが入っていく、後ろではスルトとミレィが様子を伺っていた。

「いったいここは何処だ??」

「まず名前くらいいいなさい、ここはルアス町の私の家よ。」

「…レヴン=クレイツァーだ。
ルアス、、、きいたこともない。俺はなぜこんなところに?」

「ェーツ! ルアスを知らないなんて何処の田舎者よ!」
ミレィが思わず口を挟む。

「シッ、失礼だよ!
僕はスルト、隣のちょっと失礼な子はミレィっていう子です、よろしく!」
スルトが慌てて自己紹介をした。

「君は何処から来たの?レヴン君?」レイチェルが聞いた。

「俺は王都の城に侵入して…
7神官どもに変な魔法をかけられて、、、気がついたらここだった」

「???」三人の頭にクエスチョンマークが浮かぶ。

「王都? 7神官??、あなた頭でもうったんじゃないでしょうね?、大丈夫??」
頭がおかしくなったと思われる始末である。

・・・な、なんだここは、、、王都すらわからないのか、、、
いったいどんな田舎に飛ばされたというんだ俺は?!・・・

「・・・まあいい、俺の荷物は一緒になかったか?」

「あ〜これ? このネックレスと、あの大きな剣ね。ミレィとスルトが運んできた」

「セルティアル!なぜこんなにボロボロに!
もう一個、ベルセルク…いや、もうひとつ剣はなかったか??」

「ううん、これとネックレスだけで、、、あなた光に包まれて落ちてきたのよ?」

・・・なんてことだ、なぜここまで痛んでいる…
そのうえベルセルクまで失うとは、、、、・・・

レヴンは大剣セルティアルを掴んで、魔力を込めた。
剣が光をおび、元の姿を取り戻していく、、、はずだった、が、

「なっ!? 魔力がこめれない、、、剣が俺を拒んでいるのか?!」
セルティアルという剣はマスターを選ぶ、
資格がない人間には、斬ることすらできないだろう。

ここでレヴンは、もっと重大な危機に気がついた。

もうひとつの剣どころか、
彼の力の大半がきえているという事実に、、、。

うな垂れているレヴンに、
「落ち着くまで家においてあげるわ、
時間がたてば本当のあなたの居場所も思い出すはずよ」

そう言って、レイチェルと弟子二人は部屋から出て行き、
また彼は部屋に一人ぼっちになった。