I WISH ・・・8 〜生きる意味と意志〜


─俺たちは、何も得ることはなく、ただ壊すだけの存在なんだよ。

過去の自分が語りかける。

 ─もう、終わりにしよう。 

もう壊すことも生きることも疲れた。我らが望んだ…無へと。

闇が一段と強くなる。 足元から闇に浸食されるような感覚。

 消えかけているのか…俺の存在が。

それもいいかもしれない。 俺は俺のせいで唯一の仲間をうしなった。

 もう独りでいきるのも疲れたよ…

クレイ、レイツァー、お前たちも俺を恨んでいるだろう・・・今、お前らの元へ行く。

そっと眼を閉じた。
徐々に闇と同化しはじめる二人。

─やっと、眠れる・・・

 これで、いいんだ・・・


「いけない、生命力が急激におちていってる、がんばって!」
ベットに寝かせたレヴンの傍らで、レイチェルが叫ぶ。

「師匠、レヴンは・・・?」
スルトが泣きそうな顔をして聞く。 答えは返ってこなかった。

「ねぇ、もうレヴンが死ぬのをみてるしかない? ねえってばぁ!」
ミレィはレイチェルの顔をみた、絶望的な顔でボーっとレヴンをみている。

「いやっ、そんなのいやだよ、眼を開けて、
まだ少ししか一緒にいられなかったけど、
大切な仲間なんだから・・・死なないでぇぇぇぇ!」


  仲間…!

闇に溶けかけていた体が元へ戻っていく。

─なぜだ? なぜまだ生きるというの?
 こんな苦しい思いしてまで俺たちはまだいきるというの?

 まだ、俺は死ねないよ。 守るべき仲間が・・・できたからだ!

─! またその仲間をも危険に巻き込むんだよ? 
 俺たちが、「創造」の力が世にある限り!

 そうかもしれない…だが、守りとおすさ、今度は。
 呪われた「力」 けどその 力、守る力へと!

 今ならできるはずだ、俺はもう独りじゃない!

辺りの闇が薄れていき、、ぼんやりとした光が差し始めた。 

絶望の闇に始めて差す希望の光。

─希望…か、俺たちにとって初めてみえたね。

─たとえそれが更なる絶望のふちへと続く道だったしても、
 俺たちは先へすすむというんだね?

 あぁ、俺を必要としてくれる人が、一人でもいるかぎり、俺は歩みを止めない!

 I wish …I live with them

過去の自分は消えていき、闇は光でかきけされた。

 さぁ、戻ろう。あいつらの元へ。

 眩しい。眼を開けると、朝のやさしい光が差し込んでいる。

ゆっくりと上半身だけおこした。

「レヴン!!」
隣にいたミレィが狂喜の声を上げる。 その眼にはまだ涙が光っている

「なんだ、、今朝はおこされなかったようだな。 いつものあんたらしくもない。」

そう言って笑って見せた。

「バカっ、死んじゃうかもっておもってたのに。 呆れたわ、全然元気じゃない」
腕で眼をこすりながらミレィが涙声でいう。

「あぁ、お前の声が聞こえたよ。 おかげで戻ってこれたみたいだ、ありがとう。」
ミレィの髪へ手を伸ばし…やさしく撫でた。

「ほんとに…いきててくれてよかった。」
また涙がもどってきて、照れながら顔をベットのシーツにおしこんだ。


 生きている。 行き続ける、こいつらと。

まだミレィを撫でながら、感じたことない感情につつみこまれていた。