『ラファンの日記〜課金の日〜』


それから数日後。

アスガルドに課金日がやって来た。

朝9:00.

ラファンは、ナイトモスエリアにやってきた。

まだメンテナンス前だったせいか、シュアもいた。

「メンテナンスは、11:00からだって。」

と言うシュアに「なるほど」と頷くラファン。


「シュアさん、また…会えますよね?」

「うん、ラファンさん。またね(^^」

ラファンがログアウトする前に言った言葉。


そして、その2時間後。

世界にメンテナンスの手が入った。

その後、ラファンは1・2週間かそこらでアスガルドに復帰した。

その当時。現実の世界では『夏休み』の頃…。


『□月□日。

今までアスにこれなかったので、

今日は、記載をストップしていた日記を再び書きます。

シュアさんや他のみんなとも会えたら嬉しいです。(^^』


と日記を書くと、ラファンはミルレス町の町広場へ向かった。

すると何やら広場は、たくさんの人でごった返していた。

「これは一体…煤i・・;」と驚いていると、知り合いの魔女さんから

「あらぁ、こんにちは」と声をかけてくれました。


「ところで、この騒ぎは?!煤i・・;」と訊くと

どうやら水着のクエストが実施されているようなのです。

そして、ミルレスの町にごった返しになっている人たちもおそらく…。

ということだそうです。


『私もつい、好奇心が働いてしまうのでしょうか?

ミルレスのイベント受付のおじさんからクエストを請け負ってしまったです。

途中からして、危険なエリアに足を踏み入れてお墓になったりもしましたが

それでも何とか水着を手に入れてみました。ところが…。』


「あ、魔法が使えない。ケインスタッフ…あ、持てない。(^^;」


『そう、魔法が使えないのと武器が持てないのが、『水着の弱点』でした。

帽子は、装備可能なのですが…。攻撃できないのが、痛いです(^^;』


(仕方ない。安全地帯ででもたまーに着てみましょう。)とだけ思っていたら

特に使い勝手がナシ(^^;

(売ることもあげることも出来ないのが、良いのか悪いのか(^^;))

苦笑するラファンでした。


さて、それから日付は次々と過ぎていったある日。

『□月X日。

シュアが50ヘルに入りました。「おめでとう」と言ったのですが、

本人は嬉しくない様子。何故なのでしょう?(・・?』


理由を聞くと、魔の50ヘルがキツイからだったようです。

経験値を貯める為にいくら狩りをしても先が見えないような

そんな気がする。と言うのが彼の言い分でした。


事実、魔術師の50ヘルは、盗賊・聖職者の順に並べていくと

まだ騎士や吟遊詩人の居なかった頃として想定すれば

5番目・・・つまり抜けるには最もキツイ状況だったのです。


『「このキャラ捨てる!」とまで言い出したシュア。

しかし、その時の私は『今考えて見ればとんでもない』とでも言いかねない。

そんな位の『厳しいこと』を言ってしまいました。』


「私、捨てられちゃうんですね(・・」

何気なく言ったラファンの一言にシュアは、一瞬キョトンとした。

「あなたがLvを上げるか上げないかは、自由ですが。

けど、キャラを捨てちゃうのなら、私も捨てられちゃいますね(・・」

そう言ったラファン。


つまり、シュアがキャラを捨てると言うことは、

『シュア』として、シュアのコトを好きな『自分の存在』を捨てた。

そういうことになるのでは? とラファンは、言いたかったらしい。

ようやくその意味に気が付いたシュアは

「狩り行って来ます」とだけ告げるとゲートでどこかへと飛んで行った。


『私は、その後になって『自分が言ってしまったコト』に対して

シュアに『謝らなくちゃ』と思っていました。

しかし、まさかこの一言がシュアを変えてしまうコトになるとは…。』


シュアは、異例の速さでLvを上げていった。

ラファンのLvすらも抜いて、61服を着るまでに成長した。


『やっぱり私は、『言い過ぎた』と思いました。

Lvを抜かれたことに落胆しているわけではありません。

ただ…私の中に『罪悪感』だけが残りました。』