第17話『ルアス町とストーカー(?)』


ルアス町・・・とある民家の中。

そこには頭を何かで叩かれて、気絶したガブリエルが倒れていた。

「全く。今日こそは、その顔見せてもらうわよっ!」

と倒れているガブリエルに向かって聞こえるのは、女性の声。

しかし、ガブリエルの意識はまだ伸びていた。

最初に頭を叩かれた時の一撃がよほど凄かったらしい。


「ちょっとっ!!(・・#」

怒った女は、ガブリエルの21服の胸ぐらあたりの襟を掴んで揺さぶる。

しかし、まだガブリエルの意識は、戻らない。

「こらぁぁぁぁ!!」と民家に響く女性の怒った声。

それが聞こえたのか聞こえてないのか。

「ん…」ようやく意識を取り戻したガブリエル。

ぼやーっとした視界で目の前で怒る女を見る。


少しして、視界がさらにハッキリしてくる。

ガブリエルの目の前には、面識もない女が怒りの表情で自分を見ていた。

「アンタでしょっ!!いっつもウチの前でウロウロしてる奴は!!」

と女は、怒りの形相でガブリエルを見た。

「は?」ガブリエルは身に覚えがないので、分からない。

「とぼけてもムダよっ!私、知ってるんだから!いつも21服で夜になると、

私の家の周りをウロウロしてるのアンタでしょっ!!」

どう?開き直る気?!とでも言いそうなノリで女は、怒っている。

「そんなことを言われても、オレは今日ここに来たばかりだから…。

それにルアスの町が広すぎて、ホントは武器屋と薬屋に行こうとしてた。

けど、道に迷って行けなくて…訳も分からず歩いて。

そしたら、この場所で迷ってウロウロするハメになったんだ。」

とガブリエルは、一応説明した。

聞いてもらえるかどうかは、はなはだナゾだったが・・・。


「証拠は?」

と訊く女の前でガブリエルは、荷物のカバンからブレスハンマーを出した。

よほど使いこなされていたらしい。

ブレスハンマーは、やや欠けて壊れていた。


「なるほど。…あなたの言うことを信じましょう。」

一応はね…と女は、それだけ言った。

「ありがとう。(^^」

とガブリエルは、わずかに笑顔で言った。

「武器屋と薬屋だったわね。明日連れていくから、今日はもう寝なさい。」

「へ?(・・?」

「あー、もう!今晩一晩くらいは、泊めるって言ってるのに。(・・#」

「ありがとう(^^」

「そいじゃ、おやすみ。(・・ノ”」

と女は、右の壁際に備え付けられたベットに入って眠った。

ガブリエルは、左の壁際にあるベットで眠りだした。

その2人の様子を月明かりと一つの人影が窓から見下ろしていた。


ルアス町、翌朝・・・。

ガブリエルと女は、それぞれ勝手に起きた。

2人が起きて、1時間後。

「そう言えば、昨日訊き忘れたけれど、アンタの名前は?」

と女は、ガブリエルに質問した。

「ガブリエルだけど、君は?」

すかさず来た質問に

「私の名前は、ミキルディア。一応戦士よ。Lvは、55ってトコね。」

と聞いてもいないことまで教えてくれた。

「オレは、今Lv21服を着ているけれど、ホントはLv48です。」

ガブリエルなりの敬意なのか、少しだけ言葉を付け加えた。

「ほぉー。41服着ないの?」と質問してきた女に

「そのうち着る予定です。」とだけしか答えなかった。


それから更に2時間後・・・ルアス町広場。

「こっから、まーーーーっすぐ行くと『ルアス門前大路』。

そんで、そこの左斜めの道を行くと薬屋で・・・。」

とミキルディアは、町の説明をしてくれた。

「ミキルディアさん。(・・」

「ミキルでいいよ。その代わり、こっちもガブって呼ぶから(^^」

「はい(^^;」

「さて、それじゃあ最初は武器屋に行ってみますかw(^^」

そう言ってミキルディアは、歩き出した。

その後をついて行くようにガブリエルも歩き出す。

その2人を追跡するように21服の聖職者も歩き出した。


ルアス武器屋前・・・。

「ここだよ(^^」

と笑顔で言うミキルの前には、古風な感じの武器屋が一軒あった。

「へぇ、武器屋ってアレが特徴なんだ。」

ガブリエルは、屋根の上でクルクル回る装置を見て言った。

「うん、あれはルアスだけなんだってさ(^^」

あの装置、面白いよね。とミキルが笑う。

「さて、それじゃあ中に入りましょう(^^」

ミキルは、ギィ・・・と木のドアを開けて武器屋に入った。


それに次いで、オレも入ろうとした時。

後ろから服を引っ張られた。

(え?(・・?)と思う間もなく、少しよろけるオレ。

次の瞬間、喉元にはダガーが突きつけられていた。

(は?!煤i・・;))もはや訳が分からない。

「お前、ミキルディアの何なんだ?」

背後でダガーを突きつけてるのは、声からして男だった。


「別に。勘違いして殴られた・・・だけさ!」

ダガーを持ってる手をねじり上げて、相手の背中へ振り落とすように下げる。

「いったたたたた!!」

ダガーが地面に落ちた。すがさず拾って、

相手の喉元に突きつける。形成は、一気に逆転した。

オレの目の前に見えたのは、オレと同じ髪型で

そして、オレと同じLv21服を着る聖職者。

唯一違ったのは、髪の色だけだった。

オレが青緑だったのに対して、相手は青だったのだ。


「ガブー、ずいぶん遅いじゃないの。」

ギィ・・・と武器屋のドアを開けて、ミキルが顔を出した。

「ミキルー!!」途端にオレの目の前の聖がミキルの側へと走った。

「ん?どうしたの?エルフィ。」

「あのお兄ちゃんにイジメられた(;;」

エルフィと言われた聖は、泣き出してミキルに抱きついてる。


ところが…。

「ゴン!」と音がして、エルフィは、ミキルからゲンコツを食らった。

「痛いよ、お姉ちゃん(;;」

「エルフィ、バレバレの嘘ついてるんじゃないの(・・#」

ミキルは、怒っていた。そして、ガブリエルに振り向くと

「ごめんなさいね。エルフィ、時々ウソつくから。

昔は、私も騙されていたけれど。でも、最近になって分かってきたから。」

と言って謝った。

「いや、いいよ。怪我したわけでも、死んだわけでもないんだし。」

とガブリエルは、ケロリとしていた。


「全く、アンタは。Lv21服の聖だって言うのに情けない。

少しは私を見習ってLv上げしなさい。でないといつまで経っても

私と対等になんかなれないわよ?(・・?」

とミキルは、エルフィを諭すように言って聞かせた。

「Lvが近くなったら、お姉ちゃんと行動できるの?(・・?」

きょとんとしたまま、無邪気な様子でエルフィは、首を傾げる。

「近くなったら、その時は一緒に狩りに行きましょう(^^」

にこっと笑顔のミキルに

「うんっ!ぼく、強くなるね。その為にもLv上げに行って来まーす♪」

と陽気に手を振ると、エルフィは武器屋地域を後にした。


「あの聖職者、いい子って感じだね(^^」

「ガブ、甘いわよ。あの子、あれで普通なんだから(^^;」

「へ?(・・?」

「あの子ね。二重人格なのよ(^^;」

「はぁ?!何ですとぉ?!!煤i・・;」

「攻撃的な性格と今みたくほえほえな性格の2通りあるのよ(^^;」

「厄介な性格だな(−−;」

「うん。んでもって、あの子が攻撃的な性格だった時に

私、切り傷負いまくったのよね。その切り傷から血が出て、

それを見た途端にあの子。元のほえほえに戻ったのよ。」

ヘンな話でしょ?とミキルが笑う。

(もしかして。さっき襲い掛かってきたのは、嫉妬だろうか?)

ふと、そんなことを思ったガブリエルだった。


30分後・・・。

武器屋に入り、ブレスハンマーを修理してもらった。

戻ってきたハンマーは、綺麗に磨き上げられ

それまで欠けて壊れていた部分も元通りに近い形で直っていた。


更に20分後・・・。

武器屋を出たミキルとオレは、ルアスの薬屋へと歩いていた。

「そう言えば、ルアスの薬屋もクエストやってたよ。」

確か・・・。とミキルが話し出した。

「カンタンなクエストとか?」

ならやるけれど…と言うと

「カンタンよ。ただ多少時間は、かかるかもね」

場合によってはだけれど…とミキルが言った。

「まぁ、とりあえず薬屋に行ってからだね(^^」

「そうね(・・」

ミキルとガブリエルの目の前に薬屋が近くなってきた・・・。