第1話『始まり』


まっくらな中・・・・・・。

一人ぼっちで僕は歩いていた。

世界の中のどことも言えない、暗い暗い・・・・・・上も下も分からない闇の中を・・・・・・。


「ジリリリリリリリリ!!!」

目覚まし時計の音で目が覚める。

最初に目に飛び込んでくるのは、自分の部屋の天井だった。

「また・・・・・・あの夢。」

2日に1回くらい見る、闇の中を歩く夢・・・・・・。

そんな夢を見る度に、目覚まし時計に起こされる。

でも、逆に僕にとっては目覚まし時計にちょこっと感謝したくなる。

なんとなく闇の中を行ってはいけない。

そう感じるからだった。


僕の名前は、田村 由斗たむら ゆうと。

小学2年生。好きなことは、どくしょと歌をうたうこと。

あ、あとね。『アスガルド』ってゲームもやってる。

つかってるのは、女の子でエルって名前の『せいしょくしゃ』だよ。

今、レベルは48くらいなんだ。

あともうちょっとで50ヘルだって。たのしみ♪


いつものように学校へ行った。

「おはよう。」とあいさつしたけれど、だれも何もいわない。

いつものこと、いつものこと。

やがて、先生がきた。

みんながいっしょに「おはよう」ってあいさつした。

朝のじかんがおわって、1時間目がはじまった・・・・・・。


夕方の4時20分

ランドセルをしょって僕は、家にかえった。

ママもパパもおしごと。かえってくるのは、いつも夜の8じくらい。

「『アスガルド』やろうっとw」

一人でさみしいってかんじる時もあったけど・・・・・・

いつものこと、いつものこと。 そうおもってきた。


パソコンのコンセントを入れて、『せつぞく』かいし。

しばらくして、インターネットが出来るようになった。

「アスガルド、アスガルド♪」

アスガルドのアイコンをクリックした。

アスガルドの世界の入り口が現れた。


エルのなまえと『パスワード』を入れてOKをおした。

カボチャがグルグルまわる。※1

アスガルドの中で『エル』が目をさました。

いつものように『エル』を使い、狩りをした。


『エル』であそんでいる間は、さびしいこともわすれられた。

アスガルドの人たちがこえをかけてくれる。

学校ではだれもこえをかけてくれない。

家はだれもいない。

(アスガルドのなかに入れたらなぁ。)

いつしか由斗は、そう思うようになった。

そして、その思いが後の災いを呼ぶとは、幼い由斗は気が付いてなかった。


※1 回るカボチャ:当時、ローディング画面はカボチャがぐるぐると回転してました。           今は妖精?に変わっています。かつて数回変更されたそうな・・・・・・