最終話『相克関係?』


50ヘルは越えたものの、強くなりたい気持ちは誰しも変わらない。

オレもそうだった。一介の修道士として、少しでも強くなりたい。

今日より明日、明日よりあさって。

そのために今日もオレは狩場に入った。


「今日は久々にソインに行ってみよう!」とは、リゼルの一言。

そして今、ソインが無茶苦茶沸いてる最中にオレはいた。


「マシンガンキック!」スキルLvを上げるために使いまくった。

ソインゴッドやゴッドハンドの死骸がオレやリゼルの周りに落ちる。

しかし、このエリアにはカメンタも出る。

カメンタはイミットで引きつけて、蹴りを入れる。

そんな感じで、狩りをしていた。

宝箱を見つける度に壊してみる。

たまにやってる作業だが、慣れるとアタックだけで壊せるようになる。

今日はクイポが結構出ていた。

修のオレとしては嬉しいのだが、リゼルは嬉しくなさそうだった。


家に帰るとリゼルはすぐに寝てしまった。

かなりMPを使ったようで、疲れていた。

(オレも眠るかな・・・。)

正直SPには事欠かないものの、技を繰り出すのは長時間やるとキツイ。

オレも自分用に使ってるベッドに入ると眠りだした。

そんな感じで一日が過ぎる。


次の日。オレは、Lv55になった。

『炎の拳』のスキルブックを買い、セビジブレスレットも手に入れた。

さっそくスキルを覚え、それまで使っていたLv35の腕輪を外す。

新しく手に入れたセビジブレスレットをはめると嬉しくなった。

けど、微妙に違和感がした・・・。

(何だろう?)ふとそう思ったが、忘れてしまった。


しかし、この違和感がオレを戸惑わせる原因になるとは・・・。

そのときのオレは気が付かなかった。


ところが、狩りの時・・・。

「マシンガンキック!」

とスキルを使った時。ダメージが1055も出た!!

(ありえない!!)オレは驚いた。

一緒にいたリゼルも同様にビックリしている。

「話は後で聞くよ。」リゼルは、やっとそれだけ言った。


ミルレス宿屋地域・・・夜。

リゼルの家に戻ると、リゼルは即座に

「イリュームさん、何使ったの?」と質問してきた。

「何って…。コレ。」とオレは腕輪を見せた。

「見た目は、ブレスレッドだね。」とリゼルは腕輪を見た。

「そう思うだろう?しかし、コレはセビジブレスレットだよ。」と言うと

「ああ、なるほど。」とリゼルはようやく納得した。

「多分アレだ。イリュームさんの基本値が高い上で高Lvのアイテムを

装備したことで、力が開放されてダメージが大きくなるのかもね。」

とリゼルが言い出した。

「どういうことさ?」ちょっと飲み込みが遅いオレに

「つまり、CONの数値が高い人が装備すると出る力も大きくなる。

セビジはもともと1個だけでCON+6.2個あれば+12だけ

CONの数値に加算されるから、そうなると大きなダメージが出やすい。

つまり、出したくなくてもバカ力が出ちゃうようなものだよ。」

とリゼルはお茶を飲んで言った。

「つまり習うより慣れろ??」
「そういうこと。」

オレの質問にリゼルが頷く。

(慣れるしかないのか。)

どうすれば慣れるんだろうか??と思った。


それからオレはいろいろなコトがあってLv上げが出来なくなった。

何もかもが悪循環だった。

仕方がないので、広場に行ってみた。


広場には、あまり人がいなかった。

(そりゃそうだよな、まだ昼だし狩りの時間だし。)

なんとなくそう思い、宿屋方向へ帰ろうとした時

61服の修に声をかけられた。

「やほ。」

「?」とオレが分からないって顔をすると

「アプサラスだよんw」と言い出した。

「ええ?!アイツなのかぁ?!」正直驚いた。

目の前にいる修はLv61服で黒のゴーグルをかぶっている。

(また越されたか、オレ…。)ちょっとガッカリ。

「今度は待っててやろーかぁ?」アプサラスがニヤリと笑った

「いらんわぃ!!」オレは、怒ってアプサラスを追いかけた。


昔はアプサラスを追い抜いたこともあった。けど、それは昔の話。

今のオレは最初の頃のようにLvで抜かれた。正直、かなり悔しい。

だからオレは追いかける。再びアイツのLvをひっくり返す日がくるまで

オレはLv上げをあきらめない。

ミアスやリゼルに会ったようにいろんな友人を作ろう。

それが今後のオレの目標・・・。
                      終わり