『過去の出会い、今の友人7』 「グリフィゴール殿。やはり、私には力量が足りませんでした。」 玉座の部屋で王様にうやうやしく礼をして、そう言ったエリアに 「仕方がない。アレは、まだ子供だ。君と同じ年齢ではあるが、 どうも、やるコトなすコトが幼い子供と同じになっている。」 と溜息をつくグレゴリの父親に 「そうですね。しかも何かを覚えさせようとしても全く覚えないし、 理解しようともしてくれない。結局、私に頼っているのですよ。 それにグレゴリは王になる気は、ないようです。 私がいればいいだとかなんて、勝手すぎです。(−−」と落胆するエリア。 しかし、それに対しては 「だが、エリアよ。グレゴリは、王族の中で育ってきた。 王族は、一部世襲に近いものもあるが、 それでも王族としての血が入った者達による『覇権争い』は絶えない。 しかしだ…私はこう思う。『真に賢明な王とは、いかなものか?』とな。 『政治や経済に感心を持ち、この世界を知恵で支えていく王』。 確かにそれはこの世界の求めている『王の理想』なのかもしれない。 けれど、私の見たところ。グレゴリは『新しい王』になるかもしれん。 親バカな言葉のように聞こえるかもしれないが、私なりの意見だ。」 と言い出すグリフィゴール。 「そうですか。しかし、今の私にはやはり自信がありません。 グリフィゴール殿、私を罷免(ひめん:クビにすること)して下さい。 私に『お目付け役』は、どう考えても無理です。」 それだけ言うと、エリアは一礼して、玉座の部屋を出て行った。 それから数日以上の日が過ぎた。 エリアは月にある自宅に戻り、自分の部屋へと歩いて行った。 部屋に入り、所在無げな気持ちのまま、ベットに入った。 (何か…疲れた…。) わずかな溜息と共に出て行く本音。 本音が出て行った後に残った眠気に引きづられるようにして、 エリアの意識が闇に沈んでいった。 「父ちゃん、エリア来ないのっ?!煤i・□・;」 と太陽の世界の王宮内では、元気二重マルなグレゴリが 父親の肩を掴んで揺すっていた。 「お前のお目付け役を辞めるらしい。だから、クビにした。」 淡々と言う父親に 「何で?!どうして?!!煤i>□<」と叫ぶように言うグレゴリ。 「お前が王位継承を放棄したからだ。 お前が王位をいらないと言った。エリアは『いらない存在』にしかならない。」 きっぱりと言う父親。 「そんなの勝手だよ!(><」と言い返すグレゴリ。 「ああ、勝手だ。だが、お前のしたことも『ワガママ』と言う勝手ではないのか?」 と言い返されて言葉が出ないグレゴリ 「グレゴリ。エリアは何のためにお前の側に居たか、分かるか?」 グリフィゴールは溜息と共にそう質問した。 「何でって一緒に遊んでくれるため?(・・?」と答えたグレゴリに 「違う。エリアは、『お前の未来を支える為の柱』として生まれてきたのだ。 お前が王になった時に、その側に仕え、一緒に悩んで苦しむために それを納得して、お前の側にいたんだ。 なのにお前は何も分かろうとしてなかった。 エリアは、もうここへ来ることもないだろう。 そして、それがあの者にとっての『最良な判断』だろうな。」 少しの間だけ、眠る。 グレゴリにそう言うと、グリフィゴールは寝室へと入って行った。 玉座の部屋で一人残されたグレゴリは、考え始めた。
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