『デジャブ』


ミルレス某所、ラファンの家。PM12:00。

「すぅ…すぅ…(−−」

家の中では、ラファンがベットで心地よさそうに眠っている。

ラファンは夢の中でサラセンに居た。


(さて、今日はどこに行こうかしら(^^))

と浮かれた気分でサラセンを歩いていると不思議な人とすれ違った。

(あれ?(・・?))と思い、振り向くと

すれ違ったのは、一人の聖。


(何だろう?何だろう?この感じ。(・・?))

訳も分からず、でも何となく感じる違和感に興味が出てしまい

ラファンは、その聖職者の後ろ姿を見える位置まで移動すると

自分にマナエイドを唱えて何かの呪文を小声で唱えた。

それは聖職者のどの呪文にも属さない呪文。


一通り唱えた後にラファンは、両手で○の形を作った。

そこから見えたものは、半透明な聖職者の姿。

そして、聖職者の中にある魔力とは違うわずかな力…。


(そう言えば、今までに消えた人の中にもこれと同じ状態の人がいたっけ。)

ふっと思い出して、手の形を維持したままで考えていると

手の○の中に見えていた聖職者が振り向いた。

その顔は、明らかに不振人物を見る目で…。

「・・・・・?」

何かを言った聖職者。しかし、声が聞こえない。

「ごめんなさい。えと・・・・・?」

夢の中でラファンも何か言ってるようだが、声がかき消されている。

「・・・・・・・・・。」

なにやら言ったようだが、声がしないので、分からない。


(私…。何を言おうとしたんだろう?)

そう思った途端。ラファンの目に飛び込んできたのは、

窓からくる朝日の光だった。


(うーん、あれは一体なんだったのだろう?(・・?))

と家の中でむぅー。と腕組みをしているラファン。

そんな時。


(あ、そうだわ。昨日の狩りでりんごが切れてたんだっけ(・・;))

ハッとカバンの中身を見て、りんごの数が少ないことに気が付いたラファン。

(ともかく、サラセンにでも行ってみましょう。(・・))


特にビックリも動揺もせずに

ラファンは、カバンからサラセン町ゲートを出して開いた。

メンタルロニア語の『転送』を表す文字と魔方陣が光輝いて

ラファンを包み込むようにして光が消えた。