『弟子と師匠の物語(3日目・それから)』


3日目の朝…。

メールはいつものように狩りに出かけた。

え?どこからって? 前に見つけた家からです。


前日の夕方ごろにお師匠から

「ウチに空いてる部屋あるから、のんびりしていけば?」

とは言われたけれど、何となく気まずいので、断るメール。

そんなメールにお師匠は

「またいつか訊きたい事とかあったら、遊びにおいで。(^^」

と言ってくれた。


「はい(^^」と元気に挨拶して、師匠に手を振った後に歩き出すメール。

(そう言えば、お師匠って他にお弟子さんって、いないのかな?(・・))

とは思ったものの、また次に会ったときに訊けばいいか。と思い直して

メールは、家に帰っていった。


そして、翌日の今日。

狩りに行こうとしたメールにWISが来た。

その相手は、お師匠のTRACYだった。


(TRACY:「やぁ^^」)

(メール:「お師匠、おはようございます(・・)”」)

別段、普通のWISかと思って、メールも普通にWISで返事を返した。


ところが…。

(TRACY:「実は、昼ごろになったら、仲間と酒場でパーッと飲む予定なんだ」)

というWISを聞いて、メールはちょっと呆れた。

(メール:「お師匠。あんまり飲みすぎないで下さいね(^^;」)

と、ちょっとだけ釘を刺した。

(TRACY:「限界まで飲む!+(・・」)

明らかにメールの心配は、どこ吹く風って感じなお師匠。

(ちょっとは弟子が心配しているトコも悟ってください_l ̄l○)

と思いつつも、メールは言葉が出ずにWISを切った。


(全くもう。仲間とお酒なんて…。)

正直呆れていた。けど…。

(仲間…かぁ。)

ちょっとだけお師匠がうらやましくもあった。


世界に生まれて3日しか経ってない私。

世界でかなり前に生まれて、確実に強さを得てきたお師匠。

この時間の差は…大きいし、そう簡単に埋められるものではない。

ましてや時間の長さもハンパじゃない。

その時間の長さの中から出来た仲間。

私は…一つの決断を下さねばならない状態なのかもしれない。

どんな盗賊になりたいか?

その答えを出さなければいけないのかもしれない。


メールの中の結論はまだ出なかった。

しかし、どうするべきかは少しずつ見えてきているようだった。

(まだ昼まで時間はある…か。)

時の流れを感じて、メールは再びお師匠にWISをした。

(メール:「お師匠。」)

(TRACY:「何かな?(・・?」)

と訊かれて、一瞬迷ったが

(メール:「師匠、私。安定型の賊になります。」)

とメールはWISでそう言った。

(TRACY:「えっ?!煤i・・;」)と驚く師匠。

(メール:「私、友達って言える人がいないのですよ。」)

WISをしながら、メールは自嘲気味に笑っていた。

(メール:「でも、それでもこの世界で強くなるには狩りをしていくしかない。

そう考えたら、友人の補佐がない者が強くなるには、

安定型以外の方法しか残ってないんですよね。」)


WISで言ってる側から気持ちが辛い。

けど、これは現実。見たくなくともこれが、現実。


(メール:「だから、私はソロでも戦えるように安定型になります。」)

そう結論を出して、メールはWISを切った。


(もう、迷いはない。これからは、ソロで狩ることにしよう。)

そう決めたメールは、一人で今日も狩場へと向かう。

今の彼女は、まだLv11。

まだまだメールには、いろんなことが起こってくるかもしれない。

しかし、それはまた別の話。

                     終わり