『クロスティアの夢・2』


夢の中…。

クロスティアは、半透明に見える少女と一緒に姿を消した。

そして、現れたのは…。

『自分達の住む世界』とは『異なる世界』。


「ここは…?(・・」と質問したクロスティアに

「ここは、『私の住む世界』。現実世界とも言うわ。

そして、今の私達はこの世界の中に存在する『風』。」と言う少女。

「風…。」と呟くクロスティア。

「そう、『動かなければ、空気』とも言われているわ。」と女の子が説明した。

「あなたの本当の操作者(リアル)は、こっちね…。」

と少女は歩き出した。

その後に遅れないようにクロスティアも後を追う。


数分後…。

2人は、白い壁に瓦屋根のついた一軒の家の前に立った。

2階建てのその家のドアのところまで来ると、

クロスティアと一緒に行動していた少女がインターホンを鳴らす。

「ピン・ポーン♪」と音がして、

ドアの向こう側から人が駆けてくる音がかすかに聞こえる。

「はぁーい(^^」と陽気にドアを開けて出てきたのは、

紺一色のセーラー服のような格好の女の子が一人。


その人の顔を見て、クロスティアは思わず叫んだ

「マリエ!」…と。

「今がチャンスっ!」とクロスティアの側の女の子が

クロスティアを家の中に突き飛ばした。

突き飛ばされた反動でクロスティアが家の中に入ったのと同時に転倒する。


「あ・れー?(・・?」

とドアを開けた女の子は、キョトンとした。

(今、一瞬。「マリエ!」って、誰かが私の名前を呼んだような??)

セーラー服の格好の女の子は、ちょっと首を傾げたが

「まぁ、空耳ってこともあるしねっ♪(^^」

と気を取り直してドアを閉めると、玄関を上がった。


『クロスティア』の作品から、はや5年。

当時小学3年生だったクロスティアたちの操作者(リアル)こと『毬絵』は

もう中学2年生だった。

背も以前よりは、伸びた。

「さあってとっ、着替えなくちゃw」

と毬絵は、元気に階段を駆け上がると自分の部屋に入った。


(一瞬、分からなかった…。)

玄関で座り込んでるクロスティア。

彼の記憶の中の『マリエ』は、童顔だった。

(僕達は年もとらない。外見も装備が変わるだけだ。

けど、マリエは変わってしまった。)

悲嘆しているわけではない。

けど、何だか複雑な心境だった。