君の思い出・本編 幸せは、ある日突然崩れ去った・・・・・・ 僕は、ルアス騎士団の戦士だ ルアス騎士団は町をモンスターから守るのが主な仕事だ 僕は、ある一人の女性にほのかな恋心を抱いていた 彼女は聖職者で、僕とは同期でよく顔をあわせていた 彼女とは部隊が別だったが、休日には彼女と過ごすようになっていった ある時僕は、彼女になぜ騎士団に入ったのかと聞いたことがある 彼女は笑ってこう答えた この町が好きだから 人々が行きかう通り 笑顔があふれる広場 そんな何気ない日々が私の宝物だから 僕は彼女といる時間がとても楽しかった 僕は彼女の笑顔が好きだった 彼女と一緒にいるのが僕の幸せだった だけど・・・・・・幸せはそう長くは続かなかった・・・・・・ 彼女の部隊が、モンスターキャッスルの攻略を王に命ぜられたのだ 僕は、彼女を止めようとした 彼女に行ってほしくなかった けれど、彼女は微笑みながらこう言った 大丈夫、絶対生きて帰るから それに私のほかに二人も聖職者がいるから そして彼女は最後に、まるで自分に言い聞かせるように 大丈夫 そう言ったんだ けれども、彼女は生きては帰ってこなかった 彼女のいた部隊は全滅だったそうだ 彼女の遺体は城の聖職者によって傷を治されていた まるで眠っているようだった 今にも起き出して、あの笑顔を見せてくれるのではないかと思うくらいに・・・・・・ しかし、彼女が目を覚ますことは無い もう、あの笑顔を見せてはくれない 僕は彼女をモンスターキャッスルに送った王を憎んだ 今も僕は騎士団にいる 彼女が好きだったものを・・・・・・ルアスの町を守りたかったから 城も、町も、いずれ彼女を忘れてしまうだろう だけど僕は決して忘れない。 君の事を・・・・・・君の笑顔を・・・・・・ END
![]()
![]()