第25話 安らぎの時・・・ アジトは今までに無い位静寂に包まれていた・・・ なぜかこうゆう時に何故か話題が見つからない。 僕が考えていると 「私、買い物行って来るね」 と、ミィルが唐突に言うものだから僕は戸惑っていた そんな僕の状況を知ってか知らずかすぐに準備を終えてアジトを出て行った ぽつんと一人、残された僕は操り師が居なくなった操り人形のようになり そのまま壁によこたわり、ルアスの賑やかな町の風景を眺めていた・・・ たまに来る爽やかな風が心地よかった・・・ そういえば、こんなにゆっくりしたのはここ、マイソシアに来て初めてかもしれない 戦いばっかりで正直辛かった、だけど口には出さない 皆だって同じ思いをしてるだろうし、何より自分が自分に負けてしまいそうだったから 色々なことがあったな、 初めてこのゲームに迷い込んだ時はどうなるかと思ったな・・・ そして少し慣れた時ミィルに会ったんだっけ そこでもう一人の自分 「シファーズ」 が誕生したんだ・・・ そしてノカン村に来た時ミィルは・・・ だけどミィルは生きている、死んでない、確かに在る!! なんだか今まであった心の霧が晴れた気がした かなり時間が経った気がする、辺りは少し暗かった ちょっと雲行きがおかしい、ミィルが心配だった 雨が降る前にミィル迎えに行かなくちゃ アスガルドでは傘が無い、だから皆盾を傘代わりにする 「じゃあ行くとするか!」 僕が勢い良く出ると同時に雨が降ってきた しかも土砂降りである 「ザーザーザーザー・・・・」 「やばっ、スターバックラー装備!」 [職業が異なるため装備できません] 「・・・・なんだよ・・嫌がらせかよ・・・・」 当然と言えば当然の事だが、今の僕にとっては嫌がらせの何にでもなかった そんな事はお構い無しに、どんどん雨は強くなっていく 僕の舞い上がったテンションは見事転落して行った。 そんな事はさて置き、早速広場に向かうことにした 露店商人達は逃げるように帰っていく そして広場の中央にある大きな木の下で、雨宿りしているミィルを見つけた 「大丈夫?」と彼女に声をかけるが・・・ 「あなたこそ大丈夫?全身ずぶ濡れじゃない」 と逆に心配されてしまった それもそのはず、スターバックラーが付けられないから、 何も雨を防ぐものが無いので、服がびしょびしょになっていた 「でもありがと♪」 ちょっと格好悪い所を見られて、 落ち込んでた僕に、言ってくれたその言葉が、少し嬉しかった・・・ 僕らがアジト着くと皆はもう帰っていた 「お、遅いぞシファーズ、ミィル」 「あ、おっかえりー二人とも♪」 「おかえりー遅かったやないか、どないしたん?」 みんなが暖かく出迎えてくれる、それだけで幸せを感じた・・・ その夜、皆に微笑みかけて「おやすみ」と言って目を閉じた 雨が止み、月明かりが僕たちを包み込んで、 月もまるで「おやすみなさい」と言っている様だった・・・
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