\ エルヴィスは鞄から取り出した 松明に火を点けた。 火が揺らぎながら洞窟を照らしている。 「ちょっと・・・休憩・・・しよ」 はあはあと、息を切らせながら カーウェンが苦しそうに言う。 「そうだな、ここで少し休憩してから奥へと向かおう」 そのエルヴィスの言葉が 言い終わらないうちに カーウェンは倒れるように どさっと腰を下ろした。 「俺は少し奥の様子を見てくる。 レット二人を頼む」 松明の火で煙草に火を点けたあと エルヴィスは洞窟の奥へと消えていった。 暫くするとカーウェンはだいぶ息が 整ってきたらしく、深呼吸をしている。 「もうちょっと体力つけた方がいいね、カーは」 フィスティナはカーウェンに 癒しの魔法をかけながら 軽く注意した。 エルヴィスが戻ってくると一行は「聖地」に向かい 洞窟の奥へと進んでいった。 この洞窟は自然に出来た物ではなく 人が手を加えた物のようだった。 エルヴィスははこの先にある期待と不安で 高鳴る鼓動を抑えることは出来なかった。 洞窟の奥から太陽の光が 顔を出したのは そう時間がかからなかった。 洞窟を抜けると平原に出た。 大地に寝転がり 空を見上げたいほどの大平原だ。 「久しぶりに太陽の光を見た感じ」 カーウェンは眩しそうに手のひらで顔を隠す。 「あれを見て!」 フィスティナが、前方を指差した。 目視では確認しずらいが 遠くに何か人工的な 石碑みたいな物があるのが見えた。 「とりあえずあそこまで行きますかぁ」 レットは緊張感のない声で言い、歩き出した。 3人も後に続いた。 突然レットの足が止まった。 「こりゃひでぇ・・・・」 足元に数え切れないくらいの死体が転がっている。 カーウェンは思わず目を背ける。 黒焦げに燃え尽きている者。 無残に頭を潰されている者。 無数の棘が体に突き刺さっている者。 フィスティナは十字を切り、祈りを奉げた。 死体に気を配りながら 石碑の所まで到着した。 ここにも無数の死体が無残にも転がっていた。 カーウェンは死体から発する 腐臭に嗚咽を感じながらも 石碑の存在を興味深く 観察していた。 「古代文字で何か書かれているわ。 ここからじゃなんて書いてくるか読めないなぁ」 と、カーウェンは石碑の前で転がっている 魔法使いらしき男の死体に軽く会釈をし 石碑に近づいた。
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